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禁煙外来のすすめ 川崎医大附属病院・加藤医師 保険適用可能、節煙意味ない 病気リスク軽減、挑戦を

一酸化炭素の濃度を測定する患者。モチベーションを保つ工夫の一つだ

禁煙外来で使うニコチンパッチ(上)と飲み薬

加藤茂樹医師

 たばこ増税に伴う値上げから1カ月が経過。これを機に病院の「禁煙外来」に注目が集まっている。条件によっては、健康保険も適用でき「案外、気軽に安価で禁煙に取り組むことができる」そうだ。川崎医科大付属病院(倉敷市松島)で、成功率約6割という禁煙外来を担当する加藤茂樹医師(49)に、治療の流れや「禁煙のすすめ」を聞いた。

 健康保険は「ニコチン依存症」と診断された場合に適用される。1日の喫煙本数に喫煙年数をかけた指数が200以上▽禁煙治療を受けることに文書で同意▽治療が初めてか、前回治療から1年以上経過―などの条件を満たすと、宣誓書に署名して治療がスタートする。適用されれば、自己負担総額は3カ月で2万円弱。1日当たりの費用は220円余と、たばこ1箱以下の値段で済む。

 治療法は2種類。ニコチンパッチか、飲み薬を選択する。大半を占めるのが飲み薬の服用で、最初の1週間はたばこを吸いながら飲む。「この時点で、おいしくないと感じ始める人もいる」と加藤医師。8日目以降はたばこをやめ、薬の量を少し増やす。通院は、初回と1、2、4、8、12週目の6回が基本という。

 モチベーションを高めるための工夫として、実施するのが、肺の一酸化炭素濃度測定。数値が高いほど、体内の酸素の巡りが悪いことを示す指標だ。9月中旬から通院して測っているという公務員男性(56)=同市=は「測定のたびに数値が改善される。禁煙の効果を実感でき、やる気がでる」と話す。

 県備中県民局(同市羽島)や倉敷市内の各警察署の建物内が全面禁煙になるなど、公共施設などで喫煙スペースは減る一方。「禁煙は無理だから節煙を」という人もいるようだが、加藤医師は「1本吸う間に、体がより多くのニコチンを吸収しようとするため逆効果。あまり意味がない」と指摘する。

 ニコチンは血管を収縮させるため、狭心症や心筋梗塞(こうそく)を招きやすいとされており「肺自体に積み重なったダメージはすぐに改善しないが、他の病気にかかるリスクを減らすことができる。年齢に関係なく挑戦してみて」とアドバイスする。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年11月06日 更新)

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