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人工関節置換手術を支援  国産初ロボット完成 ナカシマメディカル、岡山大など共同開発 高精度で骨切削

ナカシマメディカルや岡山大などが共同開発した人工関節置換手術の支援ロボット

 人工関節など医療機器製造のナカシマメディカル(岡山市東区上道北方)や岡山大(同北区鹿田町)などが共同開発していた人工関節置換手術を支援する国産初のロボットが、19日までに完成した。熟練した医師かそれ以上の高い精度で骨を削ることができ、既存の米国製より操作性に優れているのが特長。2011年にも国へ薬事承認を申請し、2、3年後の発売を目指す。
 同社などによると、ロボットは関節リウマチ患者らの膝(ひざ)関節を人工関節に交換する際、医師が手作業で行っている傷んだ骨の切削作業を代行。人工関節を入れられるように、アーム先端のドリル(直径8㍉)が関節部分の骨を最適な形状に削る。ロボットの大きさは幅0・9㍍、奥行き1・5㍍、高さ1・8㍍で重さ300㌔。
 医師は患者のCT(コンピューター断層撮影)画像などを基に、人工関節の大きさや、はめ込むために関節部分の骨に設ける穴や溝の深さなどを決定。そのデータを〝設計図〟としてロボットに入力すれば自動で骨を削る。
 従来の手術は医師の手が入るように皮膚を15~20㌢切開していたが、ロボットを使えば傷は半分程度で済むため「患者の身体にかかる負担も少ない」(中島義雄同社社長)という。
 開発に協力した岡山大病院整形外科の尾崎敏文教授は「動作も良く、医療現場で十分使える。医師の負担も減り、治療水準の底上げにつながる」と説明する。
 船舶用プロペラ製造のナカシマプロペラ(同東区上道北方)などが2000年、研究に着手。持ち株会社制の導入で医療部門を引き継いだナカシマメディカルが東京大工学部や産業機械メーカーのコアテック(総社市赤浜)などの協力で試作機を改良していた。ロボットの正確な動作を支援するシステムも独自開発し「高い安全性を確保した」(中島社長)という。
 既存の米国製ロボットは1億円超と高価なことなどからほとんど普及していない。ナカシマメディカルなどは1億円以下での販売を検討している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年11月20日 更新)

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