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県内2病院で脳死移植 60代男性、肺と腎臓提供

両肺の入った搬送用ケースを運び出す岡山大病院の医師ら=26日午後3時半、福山市民病院

 福山市民病院(福山市蔵王町)に低酸素脳症で入院していた60代男性が法的に脳死と判定され、26日、両肺が岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で30代女性=中国地方在住=に、片方の腎臓が国立病院機構岡山医療センター(同田益)で50代男性=同=に移植手術が行われた。中国地方で脳死による臓器提供が行われたのは、改正臓器移植法の全面施行(7月)後初めて。

 日本臓器移植ネットワークによると、ドナー(臓器提供者)の男性は提供の意志を文書で示していなかったが、家族が脳死判定と提供を承諾した。家族は「本人がもしもの時は提供したいと言っていたので、社会貢献をさせてあげたいと思った」と話したという。

 福山市民病院は25日午後8時25分に2回目の脳死判定を終了。26日午後1時半ごろから摘出は始まった。

 岡山県内2カ所の病院で脳死移植が同時に行われるのも初めて。岡山医療センターは生体、心停止移植は計約260例の実績があるが、脳死腎移植は初。患者は慢性糸球体腎炎で人工透析を受けている。午後6時20分ごろ摘出チームが提供腎を運び込み、腎・移植外科の藤原拓造医師ら8人のチームが同7時半ごろ手術を開始した。

 岡山大病院の脳死肺移植は21例目。患者は間質性肺炎により呼吸不全に陥っているという。手術は呼吸器外科の大藤剛宏・肺移植チーフら25人で行い、午後11時ごろ無事終了した。容体は安定しているという。

 心臓は大阪大で40代女性、もう片方の腎臓は県立広島病院で60代男性に移植。肝臓と膵臓(すいぞう)、小腸は医学的理由で断念された。

 脳血管障害で札幌医大病院に入院中の60代女性も26日、法的に脳死と判定され、各地で移植手術が行われた。

 脳死移植は1997年の臓器移植法施行から福山は105例目、札幌の事例は106例目、改正法施行後はそれぞれ19、20例目。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年11月27日 更新)

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