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脳死心移植を訓練 岡山大病院 施設認定受け 医師ら手順確認

脳死心臓移植のシミュレーションで、患者を手術室に運ぶ移植チーム=16日午後1時35分、岡山大病院

 改正臓器移植法の全面施行(7月)を受け、15歳以上の脳死心臓移植施設となった岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は16日、提供病院での臓器摘出から心臓移植手術までの手順を確認する初のシミュレーションを実施した。

 九州地方の病院で脳死ドナー(臓器提供者)が現れたとの想定で、医師や看護師ら20人が参加した。

 同日未明、日本臓器移植ネットワークから岡山大病院の登録患者が移植患者の候補者に選ばれたとの連絡があり、午前7時半に高垣昌巳心臓血管外科助教ら摘出チーム5人が九州の病院へ出発した。

 午後1時、摘出チームが執刀医の佐野俊二同教授にドナーの心臓は移植可能な状態と報告。患者はICU(集中治療室)から補助人工心臓装置をつけたまま手術室に移動。午後3時、心臓と装置の癒着を剥離するため、臓器の到着前に手術が始まり、午後9時に無事終了した。

 「心臓は摘出から患者の体内で血流を再開させるまで4時間しか猶予がない」(佐野教授)ため、参加者は迅速に行動。終了後に会見した佐野教授は「関係者の連携が良く、想像以上にスムーズに運んだ。本番も万全を期したい」と話した。

 岡山大病院は、脳死臓器提供数の増加など目指した法改正を機に、関連学会から心臓移植施設に認定された。小児の移植施設となる申請もしたが、移植経験がなく15歳以上のみ実施が許された。

 全国で心臓移植が可能なのは九州大病院など9施設で、大阪大医学部付属病院と国立循環器病研究センター、東京大医学部付属病院は15歳未満の移植もできる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年12月17日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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