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津山で脳死ドナー 岡山県内2例目 岡山医療センター、腎臓を移植

 津山中央病院(津山市川崎)にくも膜下出血で入院していた40代女性が法的に脳死と判定され、5日、提供された片方の腎臓の移植手術が国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)で慢性糸球体腎炎の60代男性=広島県=に行われた。岡山県内で脳死ドナー(臓器提供者)が現れたのは2例目。女性は健康保険証に臓器提供の意思を表示していた。脳死移植は1997年の臓器移植法施行から119例目。

 日本臓器移植ネットワークによると、心臓は国立循環器病研究センターで40代男性に、肝臓は東京大医学部付属病院で40代女性、膵臓(すいぞう)ともう一方の腎臓は藤田保健衛生大病院で40代女性にそれぞれ移植手術が行われた。小腸は医学的理由で断念した。

 津山中央病院は4日午後、脳死判定に着手し、同10時6分に2回目を終えた。臓器摘出は5日午後2時22分に始まり、最後の岡山医療センター摘出チームが同5時に病院をタクシーで出発した。

 同医療センターでの脳死腎移植は昨年11月に続き2例目。患者の男性は15年以上にわたり人工透析を受けている。提供された腎臓は5日午後6時25分に到着。外科の藤原拓造医師ら7人の移植チームが同7時47分に手術を開始し、6日未明に及んだ。

 岡山県内では、2002年11月に川崎医科大付属病院(倉敷市松島)でドナーが現れ臓器が提供されており、今回のドナーが改正臓器移植法の全面施行(10年7月)後では初。

情報開示へ努力不可欠

 ▽…改正臓器移植法が全面施行されて半年余り。脳死ドナーは急増、岡山県内でも肺や肝臓、腎臓の計10例の移植手術が行われ、関心が高まる中で5日、法改正後では県内初となる脳死ドナーが津山中央病院で現れた。

 ▼…脳死臓器提供病院の取材は、昨年11月の福山市民病院に続き2カ所目となった。しかし、いずれも事後の記者会見は開かれず、情報は日本臓器移植ネットワークの発表内容が中心となり、病院の“生の声”を聞くことはできなかった。これまでの全国の例を見ても、会見を開かない提供病院が圧倒的に多いのは事実だ。

 ▽…理由には、ドナーや家族の個人情報保護などがある。だが、ドナーごとに違うであろう脳死状態や脳死判定といった、提供に至る過程の情報開示が少ないほど、特別視されている移植医療に対する理解を得ることは難しい。移植医療が“通常の医療”になるには、少しずつでも透明性を確保する関係者の努力が欠かせない。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年02月06日 更新)

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