文字 
  • ホーム
  • 特集・話題
  • ワンポイント
  • インフルエンザの診療 川崎医大川崎病院 沖本二郎副院長 (総合内科学1教授) 発症後48時間以内の治療薬投与が有効

インフルエンザの診療 川崎医大川崎病院 沖本二郎副院長 (総合内科学1教授) 発症後48時間以内の治療薬投与が有効

沖本二郎副院長 (総合内科学1教授)

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって発症する病気です。以前は流行性感冒(流感)と呼ばれ、鼻風邪(普通感冒)と比べて悪寒、発熱、頭痛、腰痛、関節痛などの全身症状が強いのが特徴です。

 多くの病気は、高齢者に起こりやすいのですが、インフルエンザは、5歳から20歳代の若くて健康な人に発症しやすいため、小学校や中学校、職場で集団発生が起こります。若い人は、インフルエンザに対する抗体を持っていないためと考えられています。

 予防にはマスク、うがい、手洗いが最も重要です。ワクチンは、65歳以上の人に義務づけられており、公費負担制度があります。その予防効果は45%程度と言われています。

 インフルエンザに罹患した場合には、有名になりましたタミフルやリレンザで治療します。1回の吸入ですむイナビルや、点滴剤のラピアクタも使えるようになりました。発症後48時間以内に投与されれば、多くの患者さんで速やかに解熱します。

 しかし、65歳以上の高齢者がインフルエンザにかかると、肺炎になる場合があります。特に、肺炎球菌による肺炎では重症化する恐れがあり、その予防に、肺炎球菌ワクチンが推奨されます。高齢者の方は、インフルエンザワクチンとの併用が望ましいでしょう。

 これらの予防、治療により、従来の季節型インフルエンザの死亡者は、1000人から2000人程度でしたが、昨年の新型インフルエンザでは198人であり、世界で最も少ない死亡数でした(アメリカでは1万2000人)。日本の医療レベルの高さが、世界に示されました。日本の医療を信じて、今年のインフルエンザを乗り切っていきましょう。

 川崎医大川崎病院 (086―225―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年02月07日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ