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狭心症 岡山旭東病院循環器科 岩崎孝一朗医師 冠動脈CTでプラークの進行具合チェック 

岩崎孝一朗医師

 狭心症が疑われるときに行われる検査には負荷心電図、負荷心筋シンチ、冠動脈CT(コンピューター断層撮影)、冠動脈造影などがありますが、当院ではまず冠動脈CTを行っています。冠動脈CTでは冠動脈の狭窄(きょうさく)度だけでなく、冠動脈の壁の情報が得られるのが大きな特徴です。

 冠動脈狭窄度が50%以上で心筋虚血があれば、通常はカテーテル治療の対象になります。狭窄度が50%未満であれば、通常は内科的治療の対象になります。この心筋虚血があるか否かが重要な点であり、心筋虚血がなければ単純に狭い血管を拡げたからといって心筋梗塞や心臓死は予防できないことが分かっています。

 冠動脈CTでは血管にできた動脈硬化巣(プラークといいます)の様子を評価することができます。これは他の検査法にはない大きな利点です。現在では急性心筋梗塞は冠動脈が徐々に狭くなって最後に完全に詰まって起こるのではなく、中くらいに狭くなった血管が急に詰まって起こることが分かっています。このような心筋梗塞を起こしやすいプラークは不安定プラークと呼ばれています。不安定プラークは狭窄の程度は比較的軽いのですが、コレステロール成分が多いため軟らかく、表面の皮が薄いために破れやすいのです。冠動脈CTではこの不安定プラークを見つけることができます。糖尿病の方や高血圧・高脂血症などの危険因子を複数持っている方はプラークができやすいのです。

 不安定プラークに対しては、スタチンという薬でコレステロールをしっかり下げ、アスピリンで血栓予防をすることにより、心筋梗塞の発症を予防できることが分かっています。

 動脈硬化はいったんできると少しずつ進行するのが非常に怖いところです。しかし、逆にしっかり治療を行うと軽くなることも分かっています。冠動脈CTではプラークの進行具合をチェックしたり、治療効果を判定できるのも大きな利点です。

 岡山旭東病院(086―276―3231)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年03月21日 更新)

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