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虎次郎がデザイン関与?倉敷中央病院温室 開設時の平面、立体図4点発見 

入院患者用温室の立体図面(左)と平面図

外来患者用温室の立体図面(左)と平面図

 洋画家児島虎次郎(1881〜1929年)が描いたとみられる、倉敷中央病院(倉敷市美和)開設当時にあった温室のデザイン画4点が、同市内で見つかった。創設者の大原孫三郎(1880〜1943年)が手掛け、病院のシンボルとされる温室のデザインに虎次郎が関与していた可能性を示している。

 虎次郎は孫三郎の支援を受けて活躍、孫三郎が創立した大原美術館の名画収集にも尽力した。今年は生誕130年に当たり記念展も開催中。同美術館は「明るい色彩と簡潔なタッチは、虎次郎とみてほぼ間違いない。温室について孫三郎にアドバイスしていたことが分かり、虎次郎の幅広い仕事をうかがわせる」と話していた。

 見つかったのは、かつてあった入院患者用と外来患者用の2カ所の温室の平面図と立体図面。いずれも縦38センチ、横26センチ。木々や花、ベンチなどの位置関係を描き、鉛筆で下書きした後、水彩絵の具で色付けしている。

 23年の病院開設に合わせて造られた温室は建て替えで1カ所となり、位置も変わっているが、現在植えてある熱帯植物や形が酷似した噴水とみられる造形も描かれていた。

 同病院の建設にも携わり、同美術館初代館長・故武内潔真さんの孫・立爾さん=同市酒津=宅の古い資料の中にあった。潔真さんの日記などから、孫三郎が依頼したとみられるが、制作時期は不明。

 同病院の相田俊夫副理事長は「患者目線で温室を設置した孫三郎の理念を継承する上で意義深い。いつか院内で展示したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年04月08日 更新)

タグ: 倉敷中央病院

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