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初の15歳未満 脳死ドナーに歓迎と危惧 岡山県内関係者 「小児患者に朗報」「意思確認徹底を」

 関東甲信越地方の病院で12日、15歳未満では国内初となる脳死臓器提供者(ドナー)が現れた。岡山県内の関係者からは「移植を願う小児にとっては朗報」との声の一方で、脳死判定の難しさなどから「慎重な対応が必要」などの意見が出るなど、歓迎と危惧が入り交じった。

 岡山大病院で肺移植を行う大藤剛宏肺移植チーフは「重い肺の病気に苦しむ小児、特に幼児はサイズの問題などから移植を諦めるケースが多く、大きな前進だ」と強調する。

 ただ今後、提供が増えるかは不明だ。日本臓器移植ネットワーク西日本支部長補佐の田中信一郎・国立病院機構岡山医療センター診療部長は「いずれはと思っていたが、予想より時間がかかった。10代前半なら臓器提供への判断もつくはず。一般家族で提供の意思を話し合う契機にしてほしい」とした。

 一方、改正臓器移植法が施行された後も、虐待の有無の判断など課題は多く、小児の脳死判定には慎重論が根強い。

 小児の脳死提供シミュレーションを実施した岡山大病院で脳死判定委員を務める小林勝弘・小児神経科講師は「小児の脳は成長しており、回復のスピードも速いとされ、判断はかなり難しい。今は最大限の注意を払って判定を行い、経験を積み上げ、最良の方法を模索するべき」という。

 津山中央病院は2月に成人女性の脳死ドナーが現れ、県内2カ所目の脳死判定を実施した。「成人でも慎重に慎重を期した。現在、当病院では小児に対応できないが、今回、虐待が無かったという判断をどう下したのかなど、情報開示してほしい」と藤木茂篤院長。

 岡山大大学院の粟屋剛教授(生命倫理学)は「法改正で親の承諾で提供できるようになったが、子どもは親の所有物ではない。本当に提供したかったのか。自己決定権の空洞化につながらないように意思確認の徹底が必要だ」と指摘した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年04月13日 更新)

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