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乳がん(川崎医大病院) 放射線治療 術後照射、局所再発抑える

乳房温存手術後に行われる放射線治療=川崎医大病院提供

平塚純一・放射線医学(治療)教授

 川崎医大病院では、乳房温存手術を受けた患者は百パーセント、術後の放射線治療を受ける。術後1カ月以内が放射線治療の開始時期。

「乳房温存療法は乳房温存手術に術後の放射線治療を加えて初めて成り立つ」と平塚純一・放射線医学(治療)教授。術後照射をすると、照射しない場合と比較して局所再発率を3分の1程度に抑えられるという。

 放射線治療は、がん細胞のDNAを切断し分裂能力を失わせ、死滅させる。正常細胞にも影響を与えるが、正常細胞はがん細胞よりも修復能力がわずかに高い。「その差を利用して、正常細胞のダメージを抑え、がん細胞だけを死滅させる」と平塚教授は解説する。

 一般的な術後照射は1回2・0Gy(グレイ=線量の単位)を25回(総線量50Gy)、5週間かけて行う。同病院はカナダで発表された論文を基に、同2・66Gyを16回(同42・56Gy)、3週間で行っている。03年からの取り組み。治療期間を2週間短縮した。治療成績、有害事象は25回照射と変わらないという。

 新しい術後照射として09年から加速乳房部分照射(APBI)を試験的に実施。放射線を外から照射するのではなく、注射針より少し太い針を使い、乳がんのあった部分だけに数本穿刺せんし・留置し、その中に線源をコンピューター制御で移動させ照射する。

 「これまでに症例は3例だが、1回6Gyを6回、3日間で照射が終わる」と平塚教授は言う。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年05月16日 更新)

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