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乳がん(川崎医大病院) 外来化学療法 日常生活を送りながら治療

通院治療センター利用件数

山口佳之・臨床腫瘍学教授

 2007年4月、がん対策基本法が施行され、地域がん診療連携拠点病院に外来化学療法室(抗がん剤の点滴や注射を専門に行う部屋)の設置が義務付けられた。川崎医大病院は同年1月に同療法室「通院治療センター」を開設、3月から診療各科の外来化学療法を行っている。

 利用件数(患者が1回利用すると1件)は年々増え=表参照、10年は6886件に上った。うち乳がん患者は2786件と最多だった。「毎年50%弱が乳がんの患者さん。家庭で日常生活を送りながら治療を受けたい方が来られる。11年の利用件数は全体で7千件を超す見込み」と同センター長の山口佳之・臨床腫瘍学教授。

 抗がん剤治療のメニュー(レジメン=投与する薬剤の種類や量、手順、期間などを示す)は院内の委員会で科学的根拠や倫理性を審査された後、コンピューターに登録される。登録されたレジメンは現在400件を超す。

 外来化学療法を受ける乳がん患者は、まず乳腺甲状腺外科で診察を受ける。主治医がコンピューターでオーダーを出すと薬剤が準備され、患者が通院治療センターに向かい、投与が始まる。

 同センター=写真=は間仕切りのある18の治療ブース、個室2室を持ち、電動ベッド14台、リクライニングチェア6台を備えている。スタッフは、臨床腫瘍科医師1人(大学院研修生および研修医が加わる場合もある)、看護師3〜5人、薬剤師3、4人の体制。

 抗がん剤に副作用はつきものだが、山口教授は「センター看護師と医師が、主治医(乳腺甲状腺外科)との仲立ち役を務めるなど、患者さんのしんどさに寄り添えるよう努力している」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年05月16日 更新)

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