文字 

乳がん(おおもと病院) 診断・治療 画像デジタル化、早期発見に

村上副院長。これまでに約850例の乳がん手術を手掛けた

 「乳がんの6〜7割は女性ホルモンの影響を受けて増殖する性質を持つ」。おおもと病院の村上茂樹副院長はそう説明する。

 特に卵巣で作られ、月経などに関与する女性ホルモン「エストロゲン」との関わりは深い。初潮が早く閉経が遅い▽高齢出産や出産経験なし▽閉経後の肥満(閉経後は主に脂肪組織で作られるため)―など、エストロゲンの影響を受ける時間が長いほど乳がんのリスクも上昇する。

 検診などでしこり(腫瘤しゅりゅう)が見つかると、視触診をはじめ、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)や超音波、CT(コンピューター断層撮影)による画像診断、組織を採取しての精密検査といった複数の検査を組み合わせ、乳がんかどうかを総合的に判断する。

 同病院では昨年、画像診断をデジタル化した。村上副院長は「例えばデジタルマンモグラフィーはより精度の高い画像診断が可能になり、早期乳がん発見のきっかけになる石灰化像も拡大画像として瞬時に検索できるようになった」と話す。

 手術は乳房温存手術と乳房切除手術に大別され、「大きさ3センチを超える方や、がんの広がりがある方は切除が勧められる」(村上副院長)。同病院では年間200例以上の乳がん手術を手掛け、温存率は2010年61・2%。

 がんが最初に転移するセンチネルリンパ節(脇の下のリンパ節)生検で転移が認められなければ、後遺症の発生抑制のためそれ以上のリンパ節切除はしない。また手術前に抗がん剤を投与する「術前化学療法」、手術後に女性ホルモンの作用を抑える「ホルモン療法(内分泌療法)」などが患者ごとの治療方針に沿って行われる。

 村上副院長は「早期の発見・治療が欠かせない。ぜひ定期的に検診を」と呼び掛ける。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月06日 更新)

タグ: 女性おおもと病院

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ