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乳がん(岡山大学病院) 治療・再建センター 乳腺・内分泌外科と形成外科一体に

月1回開かれる乳がん治療・再建センターの合同カンファレンス

土井原博義・乳腺・内分泌外科教授

 岡山大学病院は2008年5月、乳房切除から再建まで総合的に治療する「乳がん治療・再建センター」を開設した。乳腺・内分泌外科と形成外科が一体となった、国内の大学病院としては初の取り組みだ。

 同センター開設前、乳腺・内分泌外科を受診した患者が乳房再建の希望を主治医に伝えると、日を改めて形成外科を受診しなければならなかった。開設後、両診療科を同じ日(毎週水曜か木曜日)に受診できるようになったのは、患者にとってメリット。同センターには、精神科神経科医師が乳がん患者や家族の心のケアを行う専門外来のほか、遺伝性の病気や遺伝子検査について説明・相談を行う「家族性乳がん相談外来」もある。

 治療実績は、原発性乳がん手術が08年115例、09年150例、10年152例。乳房再建は08年34例(一期的再建21例、二期的再建13例)、09年39例(同29例、同10例)、10年30例(同20例、同10例)。乳房再建術で腹部の組織を高度な手技で移植する「深下腹壁動脈穿通枝(せんつうし)皮弁」を行っている。また低侵襲治療の臨床試験として、乳がんを熱で死滅させる「ラジオ波熱焼灼(しょうしゃく)術」を施術している。

 同センタースタッフは乳腺・内分泌外科、形成外科、精神科神経科の医師、乳がん看護認定看護師、薬剤師ら約20人。合同カンファレンスを月1回開き、一例一例の術前、術後を検討・評価する。「すべての患者さんの情報を共有し、患者さんを全人的に支える意識を高めている」と同センター長の土井原博義・乳腺・内分泌外科教授は話す。

 従前、主に岡山県内と広島県東部だった診療エリアは、同センター開設後に広がり、香川、愛媛、山口県からの受診者もいるという。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月06日 更新)

タグ: 女性岡山大学病院

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