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乳がん(倉敷中央病院) 再建の要らない温存術 側方組織移動術

乳がんの治療動向について語る今井外科部長

 倉敷中央病院の乳がん手術は2010年、147例に行った。うち55例は乳房切除術、全体の63%に当たる92例が乳房温存術だった。

 乳房温存術症例のうち半数以上に「側方組織移動術(lateral tissue flap法)」を施術した。乳がんを切除した後、残っている乳腺と側方の皮下脂肪をはがして回転させ、切除部分のへこみを埋める方法だ。「再建の要らない乳房温存術で、手術時間は1時間半」と今井史郎外科部長(乳がん・乳腺疾患)は説明する。

 また10年に行ったセンチネルリンパ節生検は126例だった。112例が陰性、14例は陽性だったため途中で郭清かくせい術に切り替えた。同病院では同生検に放射線を発する物質は使わず、色素を用いている。

 同病院の統計では、乳がん症例のうち高齢者の占める割合がここ10年で急速に増えた。現在、70歳以上の症例が約3割となっている。その中には認知症の患者や、乳がんの他に合併症があって全身麻酔がかけられず、手術ができない高齢者もいる。

 「ホルモン感受性がある場合はホルモン治療を行い、がんをコントロールしたまま天寿を全うされる患者さんもおられる。手術をしなくても乳がんを抑えることは可能だ」と今井部長は言う。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月06日 更新)

タグ: 女性倉敷中央病院

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