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炎症性腸疾患進行で特定タンパク質増加 岡山大大学院グループ解明 診断薬開発に一歩

榎本秀一教授

東川桂さん

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の榎本秀一教授(核薬学・分子イメージング)と大学院生の東川桂さんらのグループは、難治性の炎症性腸疾患(IBD)が進行すると、特定の炎症性サイトカイン(タンパク質)が増加していくことを、マウス実験で突き止めた。同疾患であるクローン病や潰瘍性大腸炎の病期(ステージ)の診断などにつながる成果という。

 グループは、大腸炎を発症させたマウスに特殊薬剤を投与して症状を悪化させながら、細胞内の炎症性サイトカイン量を分子レベルで分析。「IL―6」「IL―1β」「TNF―α」の量が症状の悪化に比例するように増加していることを確認した。

 グループは体内の患部や薬剤の動きなどを生体を傷つけずに映し出す分子イメージング技術の研究チーム。今回判明したサイトカインを光らせる診断薬をつくれば、同技術でIBDの診断ができるほか、病期を把握したり、適切な治療法の選択にも役立つ。

 現在、国内のIBD患者は10万人と増加傾向にある。新たな治療薬づくりが進められているが、病期や治療効果の確認は内視鏡などで行うしか方法がない。東川さんは「分子イメージングは治療効果などを定点的に追跡できる。新たな治療薬づくりを加速させるためにも、診断薬を早期に開発したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月21日 更新)

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