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肝がん(岡山済生会総合病院) 診断 血液検査と画像で発見

藤岡真一センター長

肝障害度と肝がん治療

突発性肝がんの治療内容

 がんシリーズ第2弾は肝がん。国内のがん死者の中で4番目に多く、男性は女性の約2倍に上る。岡山済生会総合病院(岡山市北区伊福町)は原発性肝がんの切除術が年間50例以上、ラジオ波焼灼しょうしゃく術が同170例以上と中四国でトップクラスの実績を誇る。2003年に肝臓病センターを開設、内科、外科、放射線科などが協力し、各療法を組み合わせた集学的治療に努めている。

 肝がんは一般に、慢性肝炎、肝硬変を合併し、全身倦怠けんたい感、食欲不振、腹部の膨満感(おなかが張る)、黄疸おうだんなどの症状が出る。しかし、腹部最大の臓器である肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、病気がかなり進行するまで症状が現れない。再生・予備能力が高く、多少の障害、切除を受けても栄養素の代謝や解毒機能を果たせるためだ。

 診断は、血液検査と画像診断で行われる。血液検査では、腫瘍マーカー(がんの目印)のAFP(アルファフェトプロテイン)とPIVKAピブカ―IIツーの数値が上昇すると、がんが疑われる。さらに腹部の超音波(エコー)検査、造影剤を静脈注射して行う造影CT(コンピューター断層撮影)でがんを発見できる。

 岡山済生会総合病院では、採血後1時間以内に腫瘍マーカーの測定結果が出る。超音波検査、造影CTも初診日に実施するほか、新たに早期がん診断に有効な造影エコー検査、プリモビストMRI(磁気共鳴画像装置)検査も導入している。

 藤岡真一・肝臓病センター長は「画像の読影力に優れた放射線科医師・生理検査技師らの協力で、がんの早期診断に必要な検査結果は数日以内に全て分かる」とし「これらの診断法により、針を刺してがん組織を採取、検査する針生検を省略することもできる」と説明する。

 肝がんの治療法は、切除手術、ラジオ波焼灼術、肝動脈(化学)塞栓療法が柱。日本肝癌がん研究会を中心にした研究班が2005年にガイドラインを作成しており、肝障害度、がんの個数や大きさによって治療法が決まる=図参照。

 10年の原発性肝がんの治療(再発治療も含む)は447例=グラフ参照=に上り「外科、内科、放射線科の医師でよく検討し、最善の治療法を決めている」と藤岡センター長は力説する。

 同病院肝臓病センターは先進的な医療を提供し、肝がん以外の人を含め年間患者数は入院約千人、外来約2千人。毎月の肝臓病教室で患者教育に努め、開業医との研究会を年6回主催して病診連携も深めている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月20日 更新)

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