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肝がん(岡山済生会総合病院) 概論 肝炎から肝硬変、がん化

肝がんの原因

 肝がんは国内で2009年、死者約3万3千人を数え、がんの中では肺、胃、大腸に次いで多い。そのほとんどは、肝細胞ががん化する原発性肝細胞がんで「C型やB型肝炎ウイルスの持続感染が発がんの大きな原因となり、再発、多発しやすい」と藤岡肝臓病センター長は語る。

 ウイルス感染者が「慢性肝炎」になると、肝細胞の破壊と再生が長期にわたって繰り返され、肝臓が線維化(硬化)する「肝硬変」へと進行する。こうした中で遺伝子の突然変異が起き、がん化すると考えられている。

 C型肝炎ウイルス(HCV)は感染後、約20〜30年で慢性肝炎から肝硬変へと移行し、年率5〜10%の頻度で発がんする。B型肝炎ウイルス(HBV)は出生時から母子感染し、数十年かけて慢性肝炎・肝硬変に進行すると、年率5%程度の頻度で発がんすることが分かっている。

 感染経路は、母子感染のほか、入れ墨の針の使い回し、覚せい剤の回し打ち、性交など。以前は輸血による感染も多かったが、ウイルス検査法の確立によって激減した。

 国内では、肝細胞がんの約70%はHCV、約15%はHBVが原因とされる=グラフ参照。藤岡センター長は「最近は、アルコール性や非アルコール性脂肪肝炎、糖尿病に起因する肝がんが増えており、定期的に検診を受けることががんの早期発見に重要」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月20日 更新)

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