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肝がん(岡山済生会総合病院) ラジオ波焼灼術 電極針を刺し高熱で壊死

ラジオ波焼灼術を行う大澤俊哉診療部長

ラジオ波焼灼術で使用される電極針

 ラジオ波焼灼術(RFA)は、体外から電極針を肝臓に刺し、がんを焼いて壊死(えし)させる治療法。国内には1999年導入され「手術と並ぶ肝がんの根治術だが、体の負担がより少なく、がんが再発しても繰り返し行える」と大澤俊哉診療部長(内科)は利点を説く。

 体外から針を刺して治療する局所療法は、アルコールを注射してがんを死滅させる経皮的エタノール注入療法が行われてきたが、現在は少ない治療回数で効果の高いRFAが用いられている。

 RFAは局所麻酔をし、ラジオ波発生装置とつないだ細長い電極針(直径約1ミリ)を皮膚から病巣まで刺す。約10分間通電し、AMラジオと同じ波長の電磁波で高熱を発生させ、がんを100度で焼き死滅させる。

 「血管や他の臓器を傷付けないよう、針を刺すルートを事前に探しておく。超音波でがんの位置など見ながら安全、確実に進める」と通算約千例の実績を持つ大澤診療部長。

 治療時間は平均約30分。術後は病室で安静にし2時間後、血液検査をして貧血などないかチェック。翌日、CTかMRIの画像で焼灼範囲を確認し、計5日程度で退院できる。

 適応は一般に、肝障害度がAかBで、がんが3センチ以内、3個以下。肝予備力が良くない場合は手術よりも選択され、5年生存率は57・2%。保険が使え「全身麻酔や開腹手術が不要なため、90代にも行い、RFAを5回ほど受けた患者も多い」という。

 岡山済生会総合病院は体の負担を考え、がんの焼灼は1日1個とし、2個以上ある場合は5日ほど間をあけて行う。腸管損傷、気胸など合併症が起きる恐れもあるが、大澤診療部長は「リスクが高ければ他の治療法にする」と安全重視で臨む。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月20日 更新)

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