文字 

アラームで夜尿症児治療 岡山大研究へ 7月から検証

岡山大が夜尿症児向けに共同開発したアラーム付きトレーニングシステム

上杉達也客員研究員

 岡山大倫理委員会(佐々木順造委員長)は28日、おねしょを繰り返す夜尿症児の治療に向け、兵庫県内の介護機器メーカーと共同で試作したアラーム付きトレーニングシステムの効果を検証する研究を承認した。同大病院泌尿器科夜尿症外来の患者を対象に7月から着手し、早期の製品化を目指す。

 同大大学院医歯薬学総合研究科の公文裕巳教授と岡山大医学部の上杉達也客員研究員らが実施する。

 アラーム付きトレーニングシステムは送・受信機と専用下着(パッド)を使用。アラーム療法と呼ばれ、おねしょをするとパッドに取り付けた専用センサーが感知して、枕元の受信機へ送信する。警告音で目覚めさせることで、次第にぼうこう容量が増え完治に向かうという。

 同大病院夜尿症外来を訪れた7〜15歳の患者6人に3カ月間着用してもらい、パッドの重さからぼうこう容量を測ったり、おねしょの時間帯の変化などを調べる。

 上杉客員研究員らは2008年から海外メーカーの既存製品を使用し、臨床研究を実施。8〜15歳の14人に着用してもらった結果、ぼうこう容量は平均40・8%増えた。患者の約3割がほぼ完治し、さらに約3割がおねしょの回数が減るなどの有効性が認められたという。

 だが、下着に取り付けたセンサーがずれたり、違和感が強く患者が無意識で外してしまうなどの課題があり、これらを解消する試作品を開発した。

 夜尿症の国内患者は推計50万人で、明確な原因は不明という。上杉客員研究員は「夜尿症は当事者にとって深刻な事態。研究で、使いやすく効果の高い製品を早期に実用化させたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月29日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ