(9)「その人らしさ」を大切に~ACPの取り組みから~ 倉敷スイートホスピタル地域ケアセンターセンター長 運営企画室課長 新名早希子
■ACPとは?
「アドバンス・ケア・プランニング」という言葉を聞かれたことはありますか? 通称「ACP」と呼ばれており、2018年の11月には愛称が「人生会議」と決定しています。
ACPは、「人生の最終段階の医療やケアについて、本人、身近な家族やご本人が信頼している人たちとともに、医療・介護従事者があらかじめ話し合うプロセス」であり、つまりは、ご本人が人生の中で大切にしていることや医療やケアなどに対する望みを事前に話し合うことを言います。
また、ご本人の同意のもとに話し合いの結果が記述され、その内容については定期的に見直されること、医療やケアに関わる関係者の間で共有されることが望ましいです。
■なぜACPが必要なのか
人は、いつ、命に関わる病気やケガをするか分かりません。命の危険が迫った状態になると約70%の人がこれからの医療やケアについて自分で決めたり、人に伝えたりすることができなくなると言われています。
誰もが迎える人生の最期、「その時」について、最期まで自分らしくあるために、ご本人がこれまでの人生で得た価値観や信念をもとに、どのような医療やケアを望むかを事前に周りの人たちと話し合うことが大切です。
もしも、その時に自分で伝えることができない状況であっても、あらかじめどのような考えであったかを家族や信頼できる人と話していることで、「本人なら、きっとこう考えるだろう」という視点で話し合うことができます。
■何から始めたらよいか?
「人生会議」と愛称が決定した理由に、日常会話に浸透しやすいこと、家族や親しい人と輪を囲んで話し合うイメージがわきやすい、という内容が挙げられています。つまり、かしこまって難しく話し合いをしましょう、ではなく、日常会話の中から、「あなたが大切にしていること」や「してほしくないこと」についてまずは話をしてみましょう。
例えば、1日の中で一番大切にしていることは何か、どんな時に気持ちが穏やかになるか、また、自分の「嫌なこと」についても話しておくと良いです。そのように大切なことや嫌なことを身近な人に話すことで、自分でも気づかなかった気持ちに気づかされることもあります。
このような会話を重ねながら、人生の最期について何を望むかについて、「もしもこうだったら…どう思う?」と切り出して質問をしてみるのも良いでしょう。また、自分で意思が伝えられなくなったときに、「代わりにこの人になら判断してもらっても良い」という人が誰なのかを、本人を交えて相談しておくことも大切です。
人の考えや意識は変化するものであり、何度も対話をすることが大切です。
■尊厳の保障に向けて
尊厳の保障はすべての人に最期の時まで保障されるものです。アドバンス・ケア・プランニングの中でもっとも大切にしていることは、本人の思いや価値観、人生観に寄り添いながら家族や医療・介護従事者と「ともに考える」姿勢です。ぜひ自分の思いを身近な人に伝えてみましょう。
◇
倉敷スイートホスピタル(086―463―7111)
しんみょう・さきこ 愛媛県立八幡浜高校、川崎医療福祉大学卒業。社会福祉士。倉敷廣済病院を経て2012年から倉敷スイートホスピタル勤務。19年からセンター長となり、21年から運営企画室課長兼任。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
「アドバンス・ケア・プランニング」という言葉を聞かれたことはありますか? 通称「ACP」と呼ばれており、2018年の11月には愛称が「人生会議」と決定しています。
ACPは、「人生の最終段階の医療やケアについて、本人、身近な家族やご本人が信頼している人たちとともに、医療・介護従事者があらかじめ話し合うプロセス」であり、つまりは、ご本人が人生の中で大切にしていることや医療やケアなどに対する望みを事前に話し合うことを言います。
また、ご本人の同意のもとに話し合いの結果が記述され、その内容については定期的に見直されること、医療やケアに関わる関係者の間で共有されることが望ましいです。
■なぜACPが必要なのか
人は、いつ、命に関わる病気やケガをするか分かりません。命の危険が迫った状態になると約70%の人がこれからの医療やケアについて自分で決めたり、人に伝えたりすることができなくなると言われています。
誰もが迎える人生の最期、「その時」について、最期まで自分らしくあるために、ご本人がこれまでの人生で得た価値観や信念をもとに、どのような医療やケアを望むかを事前に周りの人たちと話し合うことが大切です。
もしも、その時に自分で伝えることができない状況であっても、あらかじめどのような考えであったかを家族や信頼できる人と話していることで、「本人なら、きっとこう考えるだろう」という視点で話し合うことができます。
■何から始めたらよいか?
「人生会議」と愛称が決定した理由に、日常会話に浸透しやすいこと、家族や親しい人と輪を囲んで話し合うイメージがわきやすい、という内容が挙げられています。つまり、かしこまって難しく話し合いをしましょう、ではなく、日常会話の中から、「あなたが大切にしていること」や「してほしくないこと」についてまずは話をしてみましょう。
例えば、1日の中で一番大切にしていることは何か、どんな時に気持ちが穏やかになるか、また、自分の「嫌なこと」についても話しておくと良いです。そのように大切なことや嫌なことを身近な人に話すことで、自分でも気づかなかった気持ちに気づかされることもあります。
このような会話を重ねながら、人生の最期について何を望むかについて、「もしもこうだったら…どう思う?」と切り出して質問をしてみるのも良いでしょう。また、自分で意思が伝えられなくなったときに、「代わりにこの人になら判断してもらっても良い」という人が誰なのかを、本人を交えて相談しておくことも大切です。
人の考えや意識は変化するものであり、何度も対話をすることが大切です。
■尊厳の保障に向けて
尊厳の保障はすべての人に最期の時まで保障されるものです。アドバンス・ケア・プランニングの中でもっとも大切にしていることは、本人の思いや価値観、人生観に寄り添いながら家族や医療・介護従事者と「ともに考える」姿勢です。ぜひ自分の思いを身近な人に伝えてみましょう。
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倉敷スイートホスピタル(086―463―7111)
しんみょう・さきこ 愛媛県立八幡浜高校、川崎医療福祉大学卒業。社会福祉士。倉敷廣済病院を経て2012年から倉敷スイートホスピタル勤務。19年からセンター長となり、21年から運営企画室課長兼任。
(2021年10月18日 更新)
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