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大腸がん(岡山済生会総合病院) 診断 陽性の4割 内視鏡検査受けず

大腸の構造

吉岡正雄部長

 大腸は長さ約2メートル。肛門につながる直腸と結腸に大きく分けられ、さらに結腸は盲腸、上行、横行、下行、S状結腸がある。このうち、がんができやすいのは直腸とS状結腸だ。

 「がんができた位置によって自覚症状も違ってくる」と岡山済生会総合病院の吉岡正雄診療部長(内科)。直腸はがんからの出血や腸をふさぐことによる血便や便秘、便が細くなることが多い。S状・下行結腸はさらに腹痛や下痢、上行・横行結腸は貧血を伴うことがある。

 しかし、「症状を自覚しないことも多い。特に肛門から遠い部位は感じにくい」。早期発見のために大切なのが検診だ。

 大腸がんで勧められているのは、便に血が混じっていないかを調べる便潜血検査。会社の健診や市町村のがん検診で行われている。出血が見つかれば、先端にレンズがついた管を肛門から入れて大腸内部を診る内視鏡検査を受けることになる。

 吉岡部長によると、便潜血検査を受けた人のうち、内視鏡検査が必要な「陽性」とされるのは7%前後。ただ、便に血が混じっていてもがんとは限らない。大腸がんやその疑いが見つかる割合は、陽性のうちの3%程度。他に3割はポリープなどの病気が見つかるが、7割近くは異常がないと診断される。

 ところが、陽性とされた人の4割前後は内視鏡検査を受けていない。進行がんが見つかった患者の中には、数年前から精密検査を勧められていたのに放っておいた場合もあるという。

 便潜血検査はごく早期の大腸がんの場合、出血が見つからないこともある。吉岡部長は「早期発見には年1回は便潜血検査が必要。内視鏡検査も機器や医師の技術の進歩で以前と比べ苦痛は減っており、陽性の場合は必ず受けてほしい」と呼び掛けている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年07月18日 更新)

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