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県内感染者じわり増加 対策徹底を 10万人当たり陽性者は全国最多

 岡山県内で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が続発し、感染者が減りきらない状態が続いている。感染発表数が前週の同じ曜日を上回る日が相次ぎ、厚生労働省のまとめによると、直近1週間(5~11日)の人口10万人当たり陽性者数は4・02人と岡山県が全国最多。県や専門家はワクチン接種と感染防止対策の徹底をあらためて呼び掛けている。

 県内の感染者は8月18日の307人をピークに、9月末にかけての緊急事態宣言とまん延防止等重点措置期間を経て、10月には1日の感染発表数が1桁台で推移するまでに減少した。しかし、その後は一転、同月27日から11月8日まで13日間連続で前週の同じ曜日を上回るとともに、10人超となる日も続くなど、油断できない状況にある。

 大きな要因はクラスターの続発だ。特に11月に入ってからは保育施設や高校、高齢者福祉施設といった五つ(15日時点)のクラスターが各地で起き、そこから感染者の家庭などへと2次感染が広がっている。その影響で、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数も全国平均(1・04人)の4倍近くに膨らんだ。

 こうした県内の感染の現状について、岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は「行動制限が緩和されたことで夜間などの人の流れが増え、感染が伝播(でんぱ)しやすい環境になっている」と分析。「ワクチンを打っていない人や、接種対象外の11歳以下などに加え、打ってから時間がたって抗体価(接種で得られた体内の抗体の量)が落ちてきた高齢者は感染リスクが大きい」と指摘する。

 実際、県のまとめでは、今月4~10日の1週間に確認された新規感染者85人のうち、53人(62・4%)はワクチン未接種者で、27人(31・8%)は2回接種完了後のブレークスルー感染だった。

 県によると、県内のワクチン接種率(2回目、15日時点)は、65歳以上が92・90%に達する一方、10代59・73%、20代69・20%、30代71・00%―と若い世代ほど低い。頼藤教授は感染再拡大を防ぐためにワクチンの接種を推奨した上で「接種後もマスク着用や手指消毒、3密(密閉、密集、密接)回避といった基本的な対策の継続が欠かせない」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年11月16日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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