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医師事務作業補助者 岡山県の雇用対策2年目 課題は受け皿確保 初年度は15人「一定成果」

県の雇用対策事業でドクターズクラークの資格を取得した小林さん。研修生を受け入れる病院の協力が課題だ

 病院でカルテや診断書を医師に代わって作成する事務作業補助者「ドクターズクラーク」の資格取得を目指す岡山県の雇用対策事業が2年目を迎えた。19人が研修を受けた初年度は15人が雇用され、「一定の成果」(県)を挙げた。しかし本年度、研修に応じる病院が減り、“受け皿”拡大が課題となっている。

 「自費で資格を取るのは経済的に厳しい面がある。補助があって本当に助かった」

 光生病院(岡山市北区厚生町)でドクターズクラークとして働く小林恵子さん(24)=同吉備津。大学卒業後、医療事務関係の仕事を探していたところ、事業を知り、昨年5月に応募。同病院での約8カ月の研修を経て採用が決まった。

 求人が少ない職種のため、資格があっても就職は難しいといい、「事業のおかげで、やりがいのある仕事に就けた」と喜ぶ。

 医師不足などで病院勤務医の労働環境が厳しさを増す中、国は医師の事務作業補助について、診療報酬の加算で後押し。日本医療教育財団(東京)などが2009年3月から、補助者としてドクターズクラークの資格試験を実施している。

 県は10年度から、病院実習や研修機関での受講を通じて同資格を取得、就職につなげる制度を雇用対策事業として開始。受講費や研修中の賃金を県が負担する。本年度の事業費は約3500万円で、10人が研修。県医療推進課は「事業によって初めて配置した病院もあり、普及の一助になっている」と話す。

 ただ、研修生の受け入れ病院は減っている。初年度は県が依頼した64施設のうち、11施設が応じたが、2年目は96施設中8施設にとどまった。

 雇用後の人件費増を踏まえ、30人弱のドクターズクラークが在籍する岡山済生会総合病院(岡山市北区伊福町)の大澤俊哉・地域医療連携センター長は「一定規模の施設でないと採算が合わなくなる。一人前に育てる労力と引き抜きのリスクを考え、二の足を踏む病院も少なくないのでは」とみる。

 同課は「事業の活性化には病院側の協力が欠かせない。雇用創出の社会的意義とともに、医師の負担を軽減できるメリットを訴えたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年08月17日 更新)

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