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コロナとインフル 同時流行備えを 倉敷中央病院・石田副院長に聞く

「ワクチンは2週間空けて2種類打ってほしい」と話す石田副院長兼呼吸器内科主任部長

 インフルエンザ感染者が増える冬場を迎え、新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されている。岡山県内のインフルエンザ感染者数(9月1日~11月21日)は3人と少ないが、コロナの新変異株「オミクロン株」が出現。同時流行すれば医療提供体制に与える影響は大きい。日本感染症学会インフルエンザ委員会委員長を務める倉敷中央病院(倉敷市)の石田直・副院長兼呼吸器内科主任部長は「発熱するなどした場合は、ためらわず受診を。ワクチンも2週間空けて2種類打ってほしい」と呼び掛ける。

 ―昨季の県内のインフルエンザ感染者は77人。一昨季の1万6736人から大幅に減った。

 コロナ禍の影響でマスク着用や手洗い、3密(密閉、密集、密接)回避といった感染対策が習慣化したことが大きい。あるウイルスが流行した時、他のウイルスが抑制される「ウイルス干渉」という現象が起きたという説もある。

 ―今季の見通しは。

 昨季は流行しなかったため個々人のインフルエンザの抗体が減少し、集団免疫が低下した可能性がある。コロナのオミクロン株は、流行「第5波」で猛威を振るったデルタ株をしのぐ強い感染力を持つ可能性が指摘されており、同時流行の懸念は昨季より高い。

 ―同時流行した場合、医療機関に与える影響を聞きたい。

 インフルエンザは突然の高熱、コロナは味覚、嗅覚異常といった特有の病状が出ないかぎり、症状から診断は下せず、両方の検査をすることになる。その結果、インフルエンザ患者を診察する場合もガウン着用といった対策が必要となり、医療従事者の疲弊は深刻なものになるだろう。

 ―発熱などの症状が出た時に取るべき行動は。

 早めの受診が望ましい。インフルエンザは発症から48時間以内に治療薬を飲めばウイルスの増殖を抑えることができる。高齢者や乳幼児、妊婦、基礎疾患がある人はどちらに感染しても重症化するリスクが高い。受診控えは避けてほしい。

 ―同時流行を防ぐにはどうするべきか。

 まずは、手洗いやうがいの励行を含めた基本的な感染対策を継続すること。さらにコロナだけでなく、インフルエンザのワクチンも忘れずに接種することだ。どちらのワクチンの副反応かを見極めるため、2週間の間隔を空ける必要はあるが、2種類を接種しても問題はない。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年12月05日 更新)

タグ: 倉敷中央病院

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