「乳がん検診ぜひ受診を」新治療法で負担軽く 松岡良明賞受賞 川崎医科大教授・園尾博司氏に聞く
乳がんの予防と治療に一筋に取り組んできた川崎医科大乳腺甲状腺外科学の園尾博司教授が、がん撲滅に貢献した個人、団体をたたえる山陽新聞社会事業団の第16回「松岡良明賞」を受賞した。「心の通う診療」をモットーに臨床、研究活動を続ける園尾教授に、乳がん対策にかける思い、治療の課題などについて聞いた。
―乳がんの治療で心がけてきたことは。
「30歳から64歳までの女性で、がんによる死因のうち乳がんはトップ。その世代の女性は、家庭を中心になって切り盛りしていることが多い。『子どもが一人前になるまで生かしてほしい』。そんな切実な願いを抱く患者のため、しっかりと勉強し、信頼される医師にならなければという思いで取り組んできた」
―乳がん対策の課題は。
「日ごろの診療を通じ、乳がんの増加を実感している。数字の上で、生涯で乳がんにかかる人は18人に1人。乳がん発見の端緒となるしこりの大きさが2センチ以内を早期乳がんと呼び、この段階で適切に治療すれば、9割が治癒するとされる。早期発見すれば、治療も軽くて済む。乳がん検診の受診率は岡山県で15%ほど。ぜひ受診してほしい」
―患者のQOL(生活の質)向上のため、新しい治療法を導入してきた。
「全国に先駆けて導入した乳房温存術や、『センチネルリンパ節生検』と呼ばれる検査がある。生検は、色素などを使ってがんの転移を見極め、リンパ節の切除を最小限にするためのもので、腕の腫れといった後遺症を抑制することができる。患者の負担を減らし、命と術後の快適さを守るための手法があれば、今後も積極的に取り入れたい」
―医師として、後輩たちに伝えたいことは。
「『逃げない姿勢』。乳がんは治療が劇的な効果を上げる場合もあれば、あらゆる手を尽くしても状態が好転しない時もある。悪化していく患者さんを見ると逃げ出したくなるが、そこで逃げずに向き合わなければ、信頼される医師にはなれない。患者を『説得』するのではなく、『納得』させられる医師になってほしい」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
―乳がんの治療で心がけてきたことは。
「30歳から64歳までの女性で、がんによる死因のうち乳がんはトップ。その世代の女性は、家庭を中心になって切り盛りしていることが多い。『子どもが一人前になるまで生かしてほしい』。そんな切実な願いを抱く患者のため、しっかりと勉強し、信頼される医師にならなければという思いで取り組んできた」
―乳がん対策の課題は。
「日ごろの診療を通じ、乳がんの増加を実感している。数字の上で、生涯で乳がんにかかる人は18人に1人。乳がん発見の端緒となるしこりの大きさが2センチ以内を早期乳がんと呼び、この段階で適切に治療すれば、9割が治癒するとされる。早期発見すれば、治療も軽くて済む。乳がん検診の受診率は岡山県で15%ほど。ぜひ受診してほしい」
―患者のQOL(生活の質)向上のため、新しい治療法を導入してきた。
「全国に先駆けて導入した乳房温存術や、『センチネルリンパ節生検』と呼ばれる検査がある。生検は、色素などを使ってがんの転移を見極め、リンパ節の切除を最小限にするためのもので、腕の腫れといった後遺症を抑制することができる。患者の負担を減らし、命と術後の快適さを守るための手法があれば、今後も積極的に取り入れたい」
―医師として、後輩たちに伝えたいことは。
「『逃げない姿勢』。乳がんは治療が劇的な効果を上げる場合もあれば、あらゆる手を尽くしても状態が好転しない時もある。悪化していく患者さんを見ると逃げ出したくなるが、そこで逃げずに向き合わなければ、信頼される医師にはなれない。患者を『説得』するのではなく、『納得』させられる医師になってほしい」
(2011年09月13日 更新)