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認知症患者の家族 3割「徘徊」に悩む 岡山大大学院・阿部教授ら調査 早期治療情報共有 地域一体で支援を

認知症患者の家族へのアンケート結果

 認知症患者の家族の3割が「徘徊(はいかい)」に悩んでいることが、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の阿部康二教授(脳神経内科学)らによるアンケートで分かった。患者から目が離せない状況が介護者の大きなストレスになっており、早期治療の必要性に加え、患者や家族を地域で支える仕組みづくりの重要性が指摘されている。

 認知症には記憶障害、失語、判断力低下といった中核症状と、これらに起因する徘徊、抑うつ、妄想、暴言などの周辺症状があり、国際的な診断基準がある。しかし、阿部教授は、周辺症状には生活習慣や社会環境が大きく影響するため現状に合った基準が必要と判断。症状の種類とその頻度、症状への対応の難しさについて「認知症の人と家族の会県支部」(妻井令三代表)と共同で5月に調査した。

 支部の会員、元会員計129人を対象とし、81人が回答。頻度が高い症状(複数回答)は、食事や排せつの異常行動(44%)、徘徊(39%)、幻覚・妄想(同)、意欲低下(37%)など。一方、介護者が特に困る症状(複数回答)で最も多かったのが徘徊(30%)で、食事や排せつの異常行動(22%)、幻覚・妄想(17%)と続いた。妻井代表は「徘徊に悩む家族が想像以上に多く、驚いた」と言う。

 結果を踏まえ、阿部教授は患者の家族から聞き取った10種類の症状の頻度や対応の困難さをポイントに換算し、重症度を決める新たな基準を設定。6月から、症状を抑えるため投薬を始めるタイミングの判断や治療効果の評価に活用しており、「素早く的確な診断を通じて、患者と家族のQOL(生活の質)の向上につなげたい」とする。

 妻井代表も、介護で気の休まらない状況に家族だけで悩む傾向があると指摘。「徘徊の可能性がある患者の情報を行政や地域住民が共有し、適切に対応できる体制をつくる必要がある」と訴えている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月25日 更新)

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