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コロナ後遺症 7割が半年以上通院 ケア外来設置の岡山大病院集計

アフターケア外来を受診する新型コロナウイルス後遺症の患者(手前)。患者の7割以上が長期間の通院治療が必要となっている

 新型コロナウイルスの後遺症に悩む患者の7割以上が半年間以上にわたって医療的なケアを受け続けている―。岡山大病院(岡山市北区鹿田町)が昨年2月に開設した「コロナ・アフターケア外来」を受診した225人のうち、163人が長期間の通院を余儀なくされていることが分かった。同大病院は「QOL(生活の質)改善に向け、落ち込みがちな気持ちにも寄り添い、最適な治療を提供したい」としている。

 同外来を設置した同大病院総合内科・総合診療科の大塚文男教授らが、昨年2月15日~今年2月25日に受診した225人(男性92人、女性133人)のデータを集計した。

 感染後に入院したのは74人、自宅または宿泊施設での療養は151人。コロナの症状の重さに関係なく後遺症は現れている。その症状(重複あり)は倦怠(けんたい)感が114人で最多。嗅覚障害78人▽味覚障害71人▽脱毛57人▽頭痛41人▽呼吸困難感36人▽睡眠障害30人▽めまい15人▽動悸(どうき)12人―など。

 225人のうち、治療のための通院を終えたのは62人。147人は平均で半年以上にわたって同外来で治療を続けており、16人はかかりつけの医療機関に通院しているという。

 これまでの研究で、コロナ感染による免疫の過剰反応や微小な血栓の発生などが後遺症に関与していることが判明。後遺症が長引く詳しい原因は不明だが「コロナ感染後に重症化した患者は、後遺症も治りにくい傾向がある」と大塚教授。

 コロナは、変異を繰り返して度重なる流行の波をつくってきた。同外来では変異株ごとの後遺症も分析。「第4波」(昨年4~6月)で主流だったアルファ株は嘔吐(おうと)や下痢などをもたらした。「第5波」(同7~9月)のデルタ株は、集中力や思考力がダウンする「ブレーンフォグ(脳の霧)」などを引き起こすという。

 年代別は、40代50人▽50代46人▽30代41人▽20代36人▽10代27人▽60代以上25人。

 同外来は予約制で平日に診療を実施している。コロナ感染から1カ月以上が経過した患者が対象で、かかりつけ医の紹介状が必要。血液検査や問診などで原因を探り、精神科神経科や耳鼻咽喉科などの専門医と連携して治療する。

 県内に住む30代女性は2020年11月、コロナに感染。1カ月以上の療養を経て職場復帰したが、大きな荷物を背負っているような倦怠感、不眠などが続いた。21年2月に同外来を初めて受診。月1回のペースで通院し、体力を回復させる漢方薬などによる治療で症状は改善してきた。

 女性は「治療はもちろん、不安定になりがちな気持ちを聞いてくれる。本当にありがたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年03月21日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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