文字 

「エイズ潜伏短縮実感」10年から3~5年に 岡山県内 拠点病院の半数回答

 HIV(エイズウイルス)感染から発症までの潜伏期間が10年とされるエイズについて、岡山県内10カ所のエイズ拠点病院を対象にした県のアンケートで、半数に当たる5病院の担当医が潜伏期間の短縮を実感し、3~5年で発症したとみられる事例もあったことが分かった。国内では近年、3年程度で発症するとの研究もあり、岡山でも裏付けた格好。感染の早期発見・治療が一層、重要になりそうだ。

 アンケートは9月下旬に実施。県南部の5病院の担当医が「3〜5年で発症している印象がある」「発症して初めて感染に気付く患者が増加しており、潜伏期間の短縮化と関係があると思う」などと回答した。残る5病院は症例不足などで不明という。

 拠点病院の一つ、川崎医科大付属病院(倉敷市松島)の和田秀穂教授(血液学)によると、ここ数年、感染から2、3年で発症した患者の来院が数件あり、わずか数カ月で発症したとみられる例も1件あったという。

 国立国際医療研究センター(東京)の調査では、1997年以降にHIV感染が確認された82人の9割近くが3年以内に免疫力が低下し、治療が必要なレベルになっていた。ウイルスの変異が病状の進行を早めているとみて、日韓のエイズ拠点病院などで2011、12年度に大規模調査を行い、2千症例以上を集めて分析する。

 和田教授は「従来は感染から10年ほどの間に分かれば発症を防げたが、猶予期間が短くなっていることで早期発見が重要になる」と指摘する。

 岡山県は、備前、美作両保健所に12月から約1時間で結果が分かる「迅速検査」を導入。「世界エイズデー」(12月1日)に合わせ、同月は各保健所・支所の検査日を増やしたり、夜間検査を追加する。

 岡山県内の今年のHIV感染者とエイズ患者は各7人(18日現在)。全国ではそれぞれ460人と253人(6月26日現在)。2010年の全国の死者は61人(男性56人、女性5人)で、県内はいなかった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年11月22日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ