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術後にピロリ菌除去、胃がん再発追跡 岡山大病院岡田教授ら研究 倫理委承認

岡田裕之教授

 岡山大倫理委員会(佐々木順造委員長)は24日、特殊なナイフで早期胃がんを切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後に、胃がん発症の一因であるピロリ菌を除去した患者の症状や、がん再発を追跡する研究の実施を承認した。がん再発患者と再発していない患者の組織や血液などを比較。再発患者の特徴などを把握し、がんの早期発見を目指す。1月中にも着手する。

 50歳以上の日本人の2人に1人がピロリ菌に感染しているとされ、感染により萎縮性胃炎を発症したり、一部は胃がんへ進行することがあり、疾患や再発予防には菌の除去が重要となる。ESD後に菌を除去した場合の再発率は、しなかったケースの3分の1に抑えられるという国内の研究成果もある。同大病院でもESD後に抗生物質を投与し、菌を除去している。

 今回の研究は、同大病院光学医療診療部の岡田裕之教授(消化器内科)らが申請。ESD後にピロリ菌を除去した患者100人の胃組織や血液などを半年、1、2、3年後と定期的に分析。再発患者と、再発していない患者を比較する。

 データの蓄積により、再発の規則性などを見いだし、がんの早期発見に向けた検診の手法などを検討する。

 岡田教授は「除菌しても再発を完全には予防できない。除菌後もリスクが残る患者を特定できるようにしたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年01月25日 更新)

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