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難治てんかん 患部開頭せず特定 岡山大病院・小林講師 脳波検出プログラム開発

独自のプログラムで測定したてんかん患者の脳波をチェックする小林講師

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)小児神経科の小林勝弘講師は、難治てんかん患者の脳波を独自のプログラムで測定し、頭に電極を張り付けるだけで患部を特定する方法を考案した。治療に患部の切除が必要な場合、従来は事前に開頭手術で電極を埋め込み、患部を特定していた。手術回数が減り、患者の生活の質(QOL)向上に大きく役立つと期待される。

 小林講師は、脳波計がとらえた脳波信号から、従来の3倍以上の精度で微細な信号を検知するプログラムを開発。これまで頭皮越しに集めたデータからは40ヘルツ以下の脳波しか検出できなかったが、脳内に電極を入れたのに近い150ヘルツまでの把握が世界で初めて可能となった。

 検査は、活動時に出る脳波のノイズを減らすため、患者に約1時間眠ってもらう必要がある。患部が脳の深い部分にある場合、検知が難しい可能性もあるが、小林講師は「じっとすることが苦手な子どもなど電極の埋め込みができない患者も多く、効果は大きい。プログラムの精度をさらに高めたい」とする。

 プログラムの導入によって、てんかん発作の兆候を示す脳波の波形も分かった。

 健康な人の脳波は整った曲線を描くが、てんかん患者は鋭いとげのような形の「棘波きょくは」であることが知られていた。小林講師の解析で、棘波にも波の形が平静なものと、小刻みに荒れているものの2種類があり、荒れている場合、発作の可能性が高いことが確認された。患者の経過観察などに役立っている。

 いずれの成果も昨年までに、国際抗てんかん連盟の機関誌で発表した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年02月03日 更新)

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