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脳梗塞の血栓吸引 治療法幅広がる 岡山大病院脳神経外科 発症8時間以内なら可能

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)脳神経外科は、急性期の脳梗塞で血管内の血栓を吸い取る医療器具「Penumbra(ペナンブラ)」を導入した。発症から8時間以内で手術できる。効果は高いが、3時間以内の投与が必要な血栓溶解薬tPA(組織プラスミノゲンアクチベーター)が適用できない患者を救う治療法として注目を集めている。

 tPA治療は2005年の承認以降、全国の大規模医療機関が導入。岡山大病院によると、約4割の患者に後遺症が残らず、2割が軽度の後遺症、死亡は1割にとどまるなど高い効果を示している。一方、3時間を過ぎた搬送などで投与できなかったり、投与しても効果がみられない約4割の患者への治療が課題となっていた。

 米国企業が開発したペナンブラは脳動脈を詰まらせた血栓を吸引し、体外に排出する医療器具。国内では昨年10月に承認された。岡山大病院での治療は日本脳神経血管内治療学会理事で、指導医でもある杉生憲志・脳神経外科講師が担当。販売業者によると、国内で導入する医療機関は数十カ所という。

 治療は太ももの動脈からカテーテルを挿入し、脳動脈中の血栓を除去。しびれや半身まひ、言語障害などを発症後、8時間以内なら治療できるという。

 岡山大病院は10年秋から「MERCI(メルシー)」と呼ばれる、血栓を金属製コイルに絡ませて回収する治療法も導入。いずれも太ももからカテーテルを入れるため、身体的負担が少ないのが特長だ。

 脳血管内治療の専門医なら、講習でトレーニングを積めば使用が可能。杉生講師によると、ペナンブラを使った治療は現在岡山大病院だけだが、メルシーは川崎医科大付属病院(倉敷市)などでも受けられるという。

 杉生講師は「脳梗塞治療は発症後すぐに専門病院で受診することが重要。これらの治療法を周知し、一人でも多くの患者さんの救命と術後のQOL(生活の質)向上に貢献したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年02月05日 更新)

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