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(6)心不全の食事療法 倉敷中央病院栄養治療部 林宏美(管理栄養士)
心不全を悪くする原因のひとつに、塩分・水分のとりすぎがあります。食生活に気を配ることも、心不全治療のひとつです。今回は心不全の食事療法についてご紹介します。
心不全の食事療法のポイントは大きく三つです。
■バランスのよい食事を心がけましょう
バランスのよい食事とは、1食の食事に主食・主菜・副菜をそろえて食べることです=図1。食品ごとに含まれる栄養素が異なるため、いろいろな食品を食べることで栄養素を偏りなくとることができます。
■塩分のとりすぎに注意しましょう
塩分をとりすぎると、からだの中に水分をためこみやすくなります。そのため、塩分のとりすぎは、高血圧やむくみの原因となり、心臓に負担をかけてしまいます。日本人の食塩摂取量の平均は1日約10グラムですが、心臓に負担をかけないためには1日6グラム未満が目標です。
そのために、気を付けてもらいたいポイントをいくつか紹介します。
(1)味付けの濃いもの、塩分を多く含むものを食べすぎないようにしましょう=図2。
漬物やつくだ煮などの加工食品は塩分を多く含んでいるため、食べる回数や量に注意しましょう。また、汁物や麺類も他の料理に比べると塩分が多いため、汁物は1日1杯までに、麺類は食べる回数を減らし、食べるときには汁を残すようにしましょう。外食、インスタント食品は味が濃いため、その分塩分も多くなります。回数が多くならないよう気を付けましょう。
(2)薄味でもおいしく食べる工夫をしましょう。
・酸味や香辛料、香味野菜をうまく利用しましょう。レモンやお酢のような酸味、こしょうや唐辛子などの香辛料、しそやねぎなどの香味野菜を使うことで、薄味でもおいしく食べることができます。
・煮物料理に気を付けましょう。煮物は味がしみ込み、塩分量が多くなります。じっくり煮込まず表面に味付けをし、つけだれで食べましょう。
・調味料を上手に使いましょう=図3。しょうゆやみそなどの調味料に含まれる塩分量を知って、使いすぎに気を付けましょう。
塩分を控えるとき、急に薄味にすると食事が食べられなくなってしまうことがあります。食事量の低下は、体重減少や低栄養(エネルギーとたんぱく質が不足し、健康なからだを維持するために必要な栄養が足りない状態)の原因となります。無理はせず、できることから始めて、少しずつ薄味に慣れていきましょう。
■水分のとりすぎに注意しましょう
水分をとりすぎると、全身の血流量が増えるため、心臓に負担がかかります。1日にとってよい水分の量は、心不全の状態によっても変わることがありますので、医師に確認しておきましょう。
当院では患者さんの疾患、ライフスタイルに合わせた食生活の改善方法について栄養指導を行っています。入院中の患者さんだけでなく、外来患者さんも受けられますので、希望があれば医師に声をかけてみてください。
◇
倉敷中央病院(086―422―0210)
はやし・ひろみ 岡山朝日高校、川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科卒業。2005年倉敷中央病院入職。糖尿病療養指導士、心不全チームサブリーダー。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
心不全の食事療法のポイントは大きく三つです。
■バランスのよい食事を心がけましょう
バランスのよい食事とは、1食の食事に主食・主菜・副菜をそろえて食べることです=図1。食品ごとに含まれる栄養素が異なるため、いろいろな食品を食べることで栄養素を偏りなくとることができます。
■塩分のとりすぎに注意しましょう
塩分をとりすぎると、からだの中に水分をためこみやすくなります。そのため、塩分のとりすぎは、高血圧やむくみの原因となり、心臓に負担をかけてしまいます。日本人の食塩摂取量の平均は1日約10グラムですが、心臓に負担をかけないためには1日6グラム未満が目標です。
そのために、気を付けてもらいたいポイントをいくつか紹介します。
(1)味付けの濃いもの、塩分を多く含むものを食べすぎないようにしましょう=図2。
漬物やつくだ煮などの加工食品は塩分を多く含んでいるため、食べる回数や量に注意しましょう。また、汁物や麺類も他の料理に比べると塩分が多いため、汁物は1日1杯までに、麺類は食べる回数を減らし、食べるときには汁を残すようにしましょう。外食、インスタント食品は味が濃いため、その分塩分も多くなります。回数が多くならないよう気を付けましょう。
(2)薄味でもおいしく食べる工夫をしましょう。
・酸味や香辛料、香味野菜をうまく利用しましょう。レモンやお酢のような酸味、こしょうや唐辛子などの香辛料、しそやねぎなどの香味野菜を使うことで、薄味でもおいしく食べることができます。
・煮物料理に気を付けましょう。煮物は味がしみ込み、塩分量が多くなります。じっくり煮込まず表面に味付けをし、つけだれで食べましょう。
・調味料を上手に使いましょう=図3。しょうゆやみそなどの調味料に含まれる塩分量を知って、使いすぎに気を付けましょう。
塩分を控えるとき、急に薄味にすると食事が食べられなくなってしまうことがあります。食事量の低下は、体重減少や低栄養(エネルギーとたんぱく質が不足し、健康なからだを維持するために必要な栄養が足りない状態)の原因となります。無理はせず、できることから始めて、少しずつ薄味に慣れていきましょう。
■水分のとりすぎに注意しましょう
水分をとりすぎると、全身の血流量が増えるため、心臓に負担がかかります。1日にとってよい水分の量は、心不全の状態によっても変わることがありますので、医師に確認しておきましょう。
当院では患者さんの疾患、ライフスタイルに合わせた食生活の改善方法について栄養指導を行っています。入院中の患者さんだけでなく、外来患者さんも受けられますので、希望があれば医師に声をかけてみてください。
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倉敷中央病院(086―422―0210)
はやし・ひろみ 岡山朝日高校、川崎医療福祉大学医療技術学部臨床栄養学科卒業。2005年倉敷中央病院入職。糖尿病療養指導士、心不全チームサブリーダー。
(2022年06月20日 更新)