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心臓壁の穴に閉鎖栓、脳梗塞再発防止へ 岡山大倫理委、臨床研究を承認

心臓の壁に開いた卵円孔をふさぐ閉鎖栓

赤木禎治准教授

 岡山大倫理委員会(佐々木順造委員長)は28日、血栓が脳に運ばれて脳梗塞を起こすのを防ぐため、心臓内部の壁に開いた「卵円孔(らんえんこう)」という穴を、特殊栓でふさいで治療する臨床研究を承認した。岡山大病院によると、欧州では脳梗塞の再発防止へ臨床応用されている。近く研究に着手して安全性や効果などを確認、治療費の一部が保険適用となる「先進医療」に申請する。

 同大病院によると、卵円孔は右心房と左心房間にあるトンネル状の直径数ミリの穴で、成人4人に1人が持つという。普段は閉じており、日常生活に影響はないが、力んだ時などに一時的に開くことがある。静脈にできた血栓がこの穴を通り抜けて左心房に入り、動脈を通って脳の血管を詰まらせ、脳梗塞を起こすことがあるという。

 今回の研究は、赤木禎治准教授(循環器疾患集中治療部)が申請。対象は卵円孔が原因で脳梗塞を発症した患者5人。太ももからカテーテルを挿入して心臓に送り、先端に付けた閉鎖栓(米国製)を直径2センチの二重の傘状に開き、両側から穴をふさぐ。治療時間は約1時間で身体への負担も少ない。

 赤木准教授によると、卵円孔による脳梗塞患者は30〜50代と若く、従来は血液を固まりにくくする薬物治療が中心だったが、副作用や毎月の検査などが負担だったという。

 同大病院では、卵円孔より重篤な「心房中隔欠損症」向けの閉鎖栓を使い、2010年から5例を治療。自由診療で保険適用されないため、治療費120万〜130万円が患者負担となっていた。

 赤木准教授は「一刻も早く研究に着手して先進医療施設の認定を受け、臨床応用したい。将来の保険適用も目指す」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年02月29日 更新)

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