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病院機能評価という化け物 おおもと病院 名誉院長 山本泰久

 10年ほど前から、機能評価という病院機能を評価する制度ができた。おおもと病院は120床の中病院から、急性期病院(外科、消化器、乳腺疾患)として51床に縮小し、小病院になったこともあり病院機能評価を受けることになった。職員全員でいろいろ勉強会をして、やっと病院機能評価の認証を受けることができた。

 3年前の取得から驚いたことが山ほどある。まず、出入り口、廊下の端々まで整理される。家庭でもしているが、ごみを分類するのはもちろん、張り紙をして内容を記した別々の段ボール箱に詰める。伝票や記録など、手間をかけないように伝票を少なくし、ムダを省き、一度の指示で多くの部署を間違いなく通していけるように工夫していたものが、全て紙また紙、記録、記録、サインと本来の仕事以外に書くこと。また、患者さんにも確認サインをしてもらい保存するなど、お役所並みの手続きがいるようになった。何とムダの山ではないかと、いまいましく思っている。問題は機能評価機構の天下り体質にあるのでは?

 委員会が10以上できた。月1回以上開催され、開院以来続けられてきた検討会議で委員会報告がされ、それぞれのリポートがのっている。紙に書いて皆に見せたというところ。これが始まったころ、当院も「患者さん」の呼称が「患者様」に“昇格”していたが、私がすぐ元の「患者さん」にもどした。

 最近の患者さんも変わってきて、何でも内緒?にしたい(個人情報の保護)人が増えてきた。「名前」を呼ばないで受付でもらった「番号で呼んでほしい」、入院部屋で「名無しの在室」にしてほしい人がいる。昨今はマンションにも表札がなく、郵便、宅配便業者も困っているのではと心配している。

(2011年7月21日付山陽新聞夕刊「一日一題」)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年05月31日 更新)

タグ: おおもと病院

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