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病院の日・看護の日 岡山赤十字病院 院長 忠田正樹

 5月12日は看護師ナイチンゲールの誕生日にちなみ「病院の日・看護の日」で、今年は6日から1週間は全国的に看護週間。各地、各病院で医療や看護に関心を持っていただくため、さまざまな行事が催される。岡山では日赤岡山県支部長・石井正弘知事の夫人による「一日看護部長」イベントが毎年行われており、今年はわが病院で予定されている。

 さらに、岡山赤十字看護専門学校では10日に恒例の戴帽式がある。2年生にナースキャップとキャンドルを手渡し、看護のプロになる決意を固めてもらう儀式だ。暗い会場で一人一人が白いキャップをいただき、手にしたろうそくをともす。いつ見ても厳粛で幻想的な光景である。ナイチンゲールがクリミア戦争の野戦病院で、毎晩ランプを手に負傷した兵士の回診をしたという史実から、その崇高で献身的な精神と情熱を象徴するキャンドル。昔も今も、看護の原点だと思う。

 もっとも現代の看護師が病棟見回りで手にしているのは、ろうそくではなく、院内用PHSや電子端末機器。ナースキャップは時に邪魔となり、不潔にもなるからと、多くの病院で着けないのが普通になった。時代とともに看護の在り方も変わり、技術もどんどん進歩している。

 病院では、最近の傾向として大学を卒業した看護師が就労するようになった。特定の分野に精通した認定看護師や専門看護師などの資格を取得する人も多い。一方、医療・看護の質向上のため、看護師の増員が求められている。医師のみならず、看護師不足も深刻な問題だ。

 「病院の日・看護の日」が、最近の医療を取り巻く状況に目を向けてもらえるきっかけになれば、こんなにうれしいことはない。

(2012年5月8日付山陽新聞夕刊「一日一題」)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年05月08日 更新)

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