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認知症になりにくい生活習慣? 川崎医大川崎病院 心療科部長 石原武士

 認知症の患者さんが増えています。ある調査によると、代表的な認知症であるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)の患者さんは、世界中で7秒に1人ずつ増えている計算になるそうです(1日に12,000人以上!)。

 最近は、認知症に関する公開講座や研修会なども多く、私も担当することがあります。ある研修会で講師をした時、参加者の方から、認知症を予防するにはどんな生活をすればよいのか要点を教えてほしいという内容の質問がありました。その時の私の答えは、バランスの良い食事をして、塩分・糖分・油分は控えめに、タバコは吸わず、お酒はほどほどに、適度に体と頭を使い続けること、というものでした。お気づきかもしれませんが、私が答えた内容は、動脈硬化、糖尿病、高血圧、脂質異常症など、いわゆる生活習慣病を予防するために心がけるべきことと同じです。

 認知症は患者さんの数がとても多い病気であり、どのような生活習慣が予防的なのか、逆に危険なのかということについては、非常に多くの研究報告があります。それらの結果をまとめると、私が答えたように、多くの人が一般的に抱く“健康的な生活”というイメージのとおりになります。

 また、認知症の予防に良い食べ物はないかという質問もよく受けます。一般住民を対象とした大がかりな食生活の調査などから、認知症に予防的に作用すると考えられる食べ物や栄養素がいくつも報告されています。すると、それらの栄養素をサプリメントとして補充すれば認知症が予防できるのではないかということになり、実際に多くの研究が行われてきましたが、サプリメントとしてでは効果がはっきりせず、普通に食事から摂ることが大切らしいという結果がほとんどです。

 今のところ、認知症を完全に予防する方法はありませんが、認知症になりにくい生活習慣というものはあると言えます。それは決して特別なものではなく、実は誰もが知っている“健康的な生活”ということになりそうです。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年06月18日 更新)

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