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高い体温、大量の発汗… 夏場の“サイン”に注意を 子どもの熱中症予防

井上勝・岡山赤十字病院第二小児科部長

 立秋を過ぎても依然猛暑が続き、県内では熱中症患者の救急搬送が相次いでいる。中でも体温調節機能が未発達で、自分で対処しにくい子どもたちは、大人に比べて危険度が高く注意が必要だ。岡山赤十字病院(岡山市北区青江)の井上勝・第二小児科部長の話などから、予防のポイントをまとめた。

 消防庁によると、今年熱中症で搬送された県内の18歳未満の患者は、5月28日から8月5日までで111人(速報値)と前年同期(94人)を上回った。井上部長は「高齢者同様、熱中症にかかる恐れが高く、今後も注意が必要」とする。

 子ども特有の危険性の理由としては、汗腺などの体温調節機能が未発達▽身長が低い分、地面の照り返しの影響で体感温度が大人より高い―が挙げられる。

 予防のポイントとして、井上部長や環境省の対応マニュアルが強調するのは、服装▽水分補給▽湿度▽冷房―の4点だ。

 服装では、胸元の熱気が逃げやすい首回りのゆったりとした物がお薦め。「素材は風通しが良く、汗をよく吸い、乾きやすいものを選んで」と井上部長。水分補給に関しては、しっかり汗をかいて体温を下げ、こまめにスポーツドリンクなどを飲ませよう。

 湿度が高い日も、汗が乾きにくく要注意。節電の機運が高まるが、エアコンや扇風機を効果的に活用してほしい。

 子どもは自分で暑い場所を避けたり、体調の急変を訴えるのが難しい。高い体温▽体の赤み▽大量の発汗▽めまいや吐き気、頭痛▽応答がおかしい―といった“サイン”に十分気を付けたい。

 発症時には服を脱がせて体に水をかけ、うちわや扇風機の風を当てる。氷があれば、太い血管が通る首や脇の下、足の付け根を冷やすのが有効。自力で水が飲めなかったり、意識がない場合は迷わず救急車を呼ぼう。

 井上部長は「周囲の大人がしっかり見守ると同時に、一定年齢以上の子どもには自衛できるよう、知識を伝えて」と呼び掛ける。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年08月10日 更新)

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