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(3)検診結果について 岡山中央病院乳腺外科医師 今田孝子

今田孝子氏

 検診で精密検査(精査)不要でも、何か所見が書いていると不安になる方がおられます。今回は検診結果についてお話しします。

 マンモグラフィー(MMG)もエコー(超音波)も検査結果はカテゴリー1から5に分類され、3以上が精査です=図1

 ■MMG

 MMGは腫瘤(しゅりゅう)、石灰化、乳腺のゆがみや左右対称性などでカテゴリー分類します。

 腫瘤があればカテゴリー3以上ですが、以前の画像と比較して変化なしなら精査不要となります。

 石灰化は、分泌物に含まれるカルシウムが沈着したり(良性)、がん細胞が壊死(えし)して生じたもの(悪性)です。明らかに分泌物の石灰化はカテゴリー1となります。しかし良性か悪性か鑑別できない石灰化も多く、その場合は精査となります=図2

 乳腺のゆがみは、がんによるひきつれ以外に手術によるものや乳腺症でも認めます。これはカテゴリー3以上となります。乳腺は基本的に左右対称ですが、片方にのみ白い陰影がある(乳腺が厚かったり硬かったりする)場合はがんのこともありますのでカテゴリー3となります=図3

 ■エコー

 エコーはMMGに比べて良性病変をよく拾い上げますのでカテゴリー2以上が多くなります。エコー所見に記載される嚢胞(のうほう)や線維腺腫、乳腺症について説明します=図4

 嚢胞とは乳管が袋状に膨らみ中に液体がたまった状態です。触診で触れるものもあります。小さな嚢胞まで含めると閉経前女性の半数近くに認められます。女性ホルモンの影響で大きくなったり小さくなったり、なくなることもあります。痛みを伴うなら感染の可能性もあるので、針を刺して内容液を抜きます。嚢胞壁にがんができることもまれにあり、嚢胞が大きくなります。次第に大きくなるようなら乳腺外科を受診してください。

 線維腺腫は10~30代が好発年齢です。触診で触れるものもあります。基本的に放置可ですが、どんどん大きくなったり痛みを伴ったりする場合は手術で摘出します。悪性になることはほとんどありませんが、腫瘤が大きくなるようなら乳腺外科を受診してください。

 乳腺症は幅広い疾患です。乳がんや線維腺腫、乳管内乳頭腫などに分類されない場合は乳腺症と記載したりします。カテゴリー2と診断された乳腺症は心配いりません。

 ■日ごろの注意が大切

 MMGやエコーは同じ施設で検診を受けていれば、異常所見があっても、前回と変化なければカテゴリー2となり精査不要になります。しかし検診施設が変わる場合は毎回要精査となりますので、何度も要精査になる方は、乳腺外科外来での検診をお勧めします。

 良性病変は心配いりませんが、日頃から自身の乳房を気にかけておくことは大切です。

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 岡山中央病院(086―252―3221)

 いまだ・たかこ 香川県立高松高校、岡山大学医学部卒。同大学医学部第一外科学教室に入局後、岩国医療センター、三原赤十字病院を経て、2003年より岡山中央病院に勤務。乳腺外科専門医、癌治療認定医、医学博士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年04月03日 更新)

タグ: がん女性岡山中央病院

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