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患者情報共有化、来年1月開始 岡山県内の病院、診療所

 岡山県と県医師会、県病院協会は県内の医療機関の間で電子カルテなどの患者情報をインターネットを通じて共有化する「医療ネットワーク岡山(晴れやかネット)」の運用を来年1月末から開始する。病院から退院した患者を地域の医療機関で引き継ぐ際などのスムーズな連携につなげる狙い。来年度末までに約300の医療機関の参加を目指す。県によると、全県規模の情報網構築は全国的に珍しいという。

 同ネットワークは、患者情報を開示する側とそれを受ける側の医療機関を募ってオンライン化。同意が得られた患者のカルテや検査画像、看護記録などについて、パスワードを割り振られた地域の医療機関がポータルサーバーにアクセスして必要な情報を閲覧する。

 電子カルテなどが入ったサーバーは開発メーカーごとで規格が異なるため、今回、県が補助して標準化する連携サーバーを各病院に設置。県の高速通信網・岡山情報ハイウェイや、外部からアクセスできない専用回線を使って個人情報が漏れないようにする。

 県はネットワーク化により、患者の治療内容や経過を各医療機関が速やかに把握できる体制を整え、病院の在院日数短縮や在宅医療の推進を図る。患者にとっても身近な診療所での医療サービスの質向上につながるメリットがあるという。

 1月は開示側が岡山大病院(岡山市北区鹿田町)、倉敷中央病院(倉敷市美和)の2病院でスタート。閲覧側も現在登録を進めており、今後開示側で約50、閲覧側約250の医療機関の参加を見込む。将来は薬局や介護事業所も情報が得られるよう検討する。

 ネットワークの整備費は9億5千万円で国の地域医療再生基金を活用。県と県医師会、県病院協会でつくる「医療ネットワーク岡山協議会」(事務局・同協会)が運用する。

 県医療推進課は「現在は地域の基幹病院と周辺の医療機関による情報共有のネットワークがあるが、県全体に広げることで遠隔地の医療機関同士の連携もしやすくなる。地域の医療体制の底上げにつなげたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年11月23日 更新)

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