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森永ヒ素ミルク事件 未開封缶公開 岡山大医学資料室、カルテ写真も

医学資料室で始まった森永ヒ素ミルク中毒事件の企画展。上段左に未開封缶、下段左に第1号患者のカルテの写真がある

 1万3千人超が被害を受けた1955年の森永ヒ素ミルク事件で、岡山大医学部に保管されていた未開封の粉ミルク缶と、第1号患者らのカルテの写真を並べた企画展が17日、同大の医学資料室(岡山市北区鹿田町)で始まった。未開封缶は他に現存が確認されておらず、カルテの写真と共に一般公開は初めて。10月27日まで。

 未開封缶は高さ11センチ、直径10センチで一部がさびており、「ビタミン入 森永ドライミルク」との表示がある。被害者の家族から入手したとされ、ヒ素が混入した徳島工場で55年5月に製造されたことが缶底のロット番号から判明している。

 カルテの写真は、同大病院を受診した1人目と55人目の患者の計2点。原因がヒ素と分かる前に作成された第1号患者のカルテには、ヒ素中毒症状である「皮フの色素沈着」の所見と共に、「敗血症として輸血」「死亡退院 8月7日」と記載されている。

 展示はこれらの資料をはじめ、同大がヒ素を特定した経緯や事件の概要を記したパネルなど10点余り。「人工栄養児に奇病」との見出しでスクープした55年8月20日付の山陽新聞夕刊記事も並ぶ。

 企画した木下浩・医学資料室長補佐は「多くの人に関心を持ってもらうことで、食品の安全や企業責任の在り方を改めて考える契機になれば」と話している。

 見学などに関する問い合わせは同大大学院医歯薬学総合研究科等総務課(086―235―7004)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年04月17日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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