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2法医学者、救急センター兼務 岡山大、死因究明の体制整備

 鳥取、埼玉県の連続不審死事件などで、犯罪死の見逃しが問題化する中、岡山大は12月から、大学院法医学教室の医師2人を、同大病院高度救命救急センター兼務とした。緊急搬送後に死亡した患者らの死因に不審な点があった場合は、警察への届け出を現場の医師に助言するなど、死因究明の体制を整える。国などによると「全国的にも珍しい取り組み」という。

 大相撲時津風部屋の力士暴行死(2007年)や連続不審死事件(09年)では、遺体が解剖されないまま「事件性なし」と判断された。このため、死因究明に関する二つの法律が成立。犯罪死かどうか見極められない遺体について法医学者らの意見を聞き、警察が必要と判断すれば遺族の承諾なしで来春から解剖できるようになった。

 岡山大によると、同教室の宮石智教授と三浦雅布助教が兼務。センターに常駐はしないが、搬送者の死因に不明、不審な点があれば出向くなどして助言する。現場医師との連携をスムーズにするため、異状死体などについて理解を深める勉強会を年数回開くことも検討している。

 同教室ではこれまで、犯罪性があったり、その疑いがある遺体の死因を究明する司法解剖などを警察からの依頼で実施。救命救急センターとの連携はほとんどなかったが、宮石教授は「臨床現場と法医学の間にあった目に見えない“垣根”を取り払い、一体となって死因究明に力を尽くしたい」としている。

 岡山県警によると、県内の2011年の変死体は2331体と、高齢化などで近年は増加傾向。この5年間で検視官を3人増やして5人体制としているが、4割弱の現場に臨場できていない。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年12月12日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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