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ドクターヘリめぐる歴史や逸話 小濱川崎医科大名誉教授が本出版

「ドクターヘリの全国展開と広域救急医療体制の構築」

小濱川崎医科大名誉教授

 川崎医科大学名誉教授の小濱啓次さんが「ドクターヘリの全国展開と広域救急医療体制の構築」(へるす出版)を刊行した。小濱さんは、ドクターヘリの国内導入を推進した中心人物の一人で、全国展開を可能にするうえでの制度整備にも関わった。同大学付属病院は2001年4月、全国に先駆けてドクヘリの本格運航を始めている。

 医師をいち早く救急現場に連れて行くドクヘリは現在56機が導入され、国内全域をカバー。救命率の向上や、医療の地域格差の解消に向けて重要な役割を果たしている。

 小濱さんは1975年に川崎医科大学に赴任した。80年にはドクヘリ先進国であるドイツを視察。帰国後、同大学で実用化研究や試行を繰り返した。ただ、当時の救急搬送は救急車が中心で、ドクヘリに対する関心はなかなか広がらなかったという。

 その状況を一変させたのが95年の阪神大震災だった。多数の死傷者にもかかわらず、震災当日にヘリコプターで病院に運ばれた患者はたった1人。これを契機に導入の機運が高まった。

 川崎医科大学付属病院での本格運航が始まった後、2007年には根拠法令となる「ドクターヘリ特別措置法」が成立。09年には国の交付金制度も整い全国に広がった。

 本書は、こうしたドクヘリをめぐる歴史や担当省庁とのやりとり、関わった人々のエピソードが豊富に盛り込まれている。B5判、152ページ、3960円。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年06月05日 更新)

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