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(1)緩和ケア病棟について 津山中央病院呼吸器病センター長 徳田 佳之、緩和ケア病棟師長 上原 徳子

緩和ケア病棟スタッフ・緩和ケアチーム

徳田佳之氏

上原徳子氏

 ■医師の立場から

 がんと共に長く生きる方は、治療の進歩によって増えています。しかし完治できない場合も多く、病気の進行に伴いさまざまな症状が出現します。より良い生活を送るためには、がんの治療や進行に伴う苦痛への対処ががんに対抗する治療と同様に大切なことです。

 当院は今年7月に緩和ケア病棟を開設しました。当院では入院で緩和ケアが必要な方に対して、今までは一般の病棟で対処しておりました。患者さんには急性期病院としての慌ただしさを感じながら日々を過ごしていただいていたのですが、今回の緩和ケア病棟開設によって、苦痛緩和により焦点を当てつつ穏やかな日々を過ごしていただける環境が整いました。

 痛い・息がしんどいといった身体の苦痛や、不眠・憂うつなどの精神的な苦痛などに対して、必要に応じて薬を調整しながら、多職種で協力して薬以外の対処も行いながら、貴重な日々をより良く過ごせるように努めていきます。

 ■看護師の立場から

 7月に緩和ケア病棟が開設され、約4カ月が経過しました。

 全室個室となっており、ご自分のペースで過ごしていただけるような静かな環境が準備できました。

 緩和ケア病棟がどのようなところか、イメージがつかない方もいらっしゃるかもしれません。緩和ケア病棟では、がんの治癒を目的とした医療行為は行わず、痛みやその他の身体的な苦痛を和らげるために必要な処置やケアを行っています。身体的なつらさを和らげるだけでなく、精神的なつらさを軽減できるような関わりも心がけています。退院を希望される場合には、患者さんやご家族のご希望をお聞きしながら、医師、薬剤師、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなど、多職種で相談し、住み慣れた環境で安心して過ごせるように支援します。

 その他に、食べたいものを少しでも味わえるような工夫や、入浴できるようにするなど、食事、排せつ、清潔ケアなど日常の生活が心地よいものとなるためにお手伝いしています。また、生きがいを支えられるよう病棟内で趣味を披露する機会を持ち、患者さんと一緒に準備から発表会まで取り組めたこともありました。

 新しくできたばかりの病棟ではありますが、患者さんとの関わりを大切にし、病棟としての役割を果たしていきたいと思います。そして、一人一人の患者さんの苦痛が少しでも和らぎ、その人らしく過ごすためのお手伝いをさせていただきたいと思っています。

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 津山中央病院(0868ー21ー8111)

 とくだ・よしゆき 岡山大学医学部卒。呉共済病院、四国がんセンター、岡山大学病院、国立病院機構松江病院を経て、2008年から津山中央病院勤務。20年から呼吸器病センター長。

 うえはら・のりこ 岡山赤十字病院看護専門学校卒 2013年に津山中央病院に入職し、2014年、緩和ケア認定看護師を取得。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年11月06日 更新)

タグ: 津山中央病院

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