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形成外科と美:雑感 岡山済生会総合病院診療部長(形成外科) 永瀬洋

 人のプロポーションでは八頭身美人という言葉が有名です。身長と頭の比率が8対1であれば美形であるとされてはいますが、これは真実ではありません。胴の長い八頭身もあれば脚の長い八頭身もあるからです。人の美の基準はどの部位を対象にするかによって変化するものですし、美の概念や文化や習慣の違い、時代背景によって全く異なった評価を受けることになります。顔貌においても同じこと、客観的な美人は存在しないということで、現代を席捲するAKB48、ももいろクローバーZを見てもそれぞれに多くのファンがついていることで証明できるでしょう。

 さて私が形成外科を選んだ30年前、「形成外科って単にキズをきれいにする科ねっ」と同僚先輩にさえ言われ、一般的には美容整形と混同され、惨憺(さんたん)たる状況でした。形成なんて必要ないと言われることもありました。最近はインターネットやマスコミのおかげで広く知られるようになったのはありがたいことですが、間違った情報を持ってこられ、ごり押しされることも多く、戸惑うことがあります。

 また、この間、形成外科の手術においては、解剖的な構造を基本とした機能回復の手段(再建)や手術材料が急激な進歩を遂げ、乳がんの再建に限らず再建時の美的効果が従来より重要性を増してきており、どのような疾患であっても(たとえがんの終末期であっても)潜在的に抱いている美的な欲求を満たすという意味において、それぞれの個人に見合った美の追求が求められる時代になってきたと感じています。個を大切にする時代であるからこそ形成外科がより一層役に立てると信じています。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年02月20日 更新)

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