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(8)攻めの災害医療対応~災害拠点病院としての取り組み 津山中央病院救命救急センター長 前山博輝

能登半島地震で災害支援を行ったDMAT

石川県の病院へ災害食を送り、備蓄品の面でも支援を行った

前山博輝氏

 津山中央病院は美作地区の唯一の災害拠点病院であり、DMAT(災害派遣医療チーム)を有しております。今まで東日本大震災や西日本豪雨災害、そして今年1月に起きた能登半島地震にもDMATを派遣し、災害支援を行ってきました。また災害食400人分を石川県の病院へ送り備蓄品の面でも支援を行っております。

 今後30年以内に80%の確率で南海トラフ地震や首都直下地震などが起こる可能性があると言われています。推定傷病者は数百万人とも言われ、全国のDMAT隊員が来たるべき災害に対して準備を行っています。

 また岡山県北でも水害や地震、土砂崩れなどが起こる可能性があり、その際には当院が災害拠点病院として地域の病院や診療所、避難所などの支援も行う責務があります。今後の災害対応のためにも津山中央病院DMAT隊員一同、日々知識のアップデートや訓練を行い備えていく所存です。

 また災害は病院のみで対応できるものではなく、医師会、保健所、市役所、自衛隊、警察、消防など多くの機関との連携が重要であり合同で訓練も行っております。2023年には岡山県北の消防が主幹となり、中四国の消防隊や関係各所が集合する訓練も行いました。

 大規模な災害が起こった際に公的な機関の力のみを頼りにして災害を乗り越えることはできないということを市民の方々に認識していただきたいと考えております。メディアなどで見たことがあるかと思いますが、災害時にはライフラインの途絶や消防や警察、病院などが通常の業務が行えなくなる状況になります。自助共助の力が非常に重要であり、普段からの準備や訓練をしっかりしておくことが大切であると考えています。

 備えとして眼鏡や補聴器などの予備を持っておく(コンタクトレンズは洗浄液や衛生面から不十分です)▽靴を寝室に置いておく▽倒れそうな家具は器具などで固定しておく▽水や保存食を備蓄しておく▽ハザードマップや避難所を確認しておく―などです。ネットにも多数の防災、減災のページがあり、首相官邸の防災のホームページが分かりやすくおすすめです。

 一般の方でも取得でき、災害対応を学べる防災士という資格もあります。近隣の教育機関などで取得可能です。災害はいつ起こるか分かりません。普段からの準備が非常に大切です。大切な方々を守るためにも一度ご家庭で災害時の対応を話してみることをおすすめします。

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 津山中央病院(0868―21―8111)

 まえやま・ひろき 岡山大学卒業。津山中央病院救命救急センター長、救急集中治療科部長。東日本大震災、熊本地震(ドクターヘリ対応)、西日本豪雨災害でDMAT隊員として災害対応を行う。能登半島地震では穴水町保健調整本部の副本部長を務めた。救急科専門医、麻酔科専門医、集中治療専門医。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2024年03月04日 更新)

タグ: 津山中央病院

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