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緑内障の解説本 4月出版 視覚障害者向け点訳付き 川崎医大、川崎医福大名誉教授 田淵昭雄さん 

自著を手にする田淵さん

本は点字で読めるよう配慮されている

 視覚障害で生活に支障がある人を支えるロービジョンケアと小児眼科のスペシャリストで川崎医科大と川崎医療福祉大の名誉教授を務める田淵昭雄さん(81)=岡山市中区平井=が、緑内障の原因や治療法を解説した「触る眼の病気の解説本 Vol.1 緑内障」を4月に出版する。視覚障害者向けに点訳を付けている。

 緑内障は、眼圧により視神経が圧迫されて傷つき視野が狭くなる病気。傷ついた視神経を治す方法はなく、早期に発見し進行を遅らせることが治療の目標となるが、初期の頃は自覚症状に乏しい。

 本(A4判、25ページ)は、緑内障の原因、眼圧を下げるための点眼薬の正しい使い方、数種類の手術方法などを図やイラストを付けて分かりやすく説明している。生活への影響として、上の視野が欠けると運転中の信号を見落とし、下の視野が欠けると読書の時に読み飛ばしをすることがあることや、歩行や車の運転をしていると両目のうち視力が良い方へ自然と寄ってしまうことを挙げる。

 悪化した場合は、読書補助具やつえを使うことや、黒いおわんを使えばご飯を食べやすいと助言。ゆっくりと症状が進行するため、適切に処置すれば生涯にわたり視野を残すことができるとしている。

 点訳は社会福祉法人岡山ライトハウス点字出版所(岡山市北区今)、点字と墨字の印刷はインパム(岡山市南区洲崎)が担当した。全国の盲学校約70校、主要な点字図書館約200校に寄贈する。

 緑内障をテーマに据えたのは、40歳以上の日本人の20人に1人が患い、失明原因の第1位という身近な疾患であるため。自身が毎週診療に訪れている兵庫県姫路市の病院の眼科医に執筆を依頼し、田淵さんが監修した。視覚障害者らの意見も聞きながら、3年以上をかけて製作した。

 田淵さんは「緑内障になっても悲観せず、上手に病気と付き合ってほしい」と話す。「目の病気への知識を深めてもらえれば」と、糖尿病網膜症への対処法をテーマにした第2弾の出版も検討している。

 田淵さんは日本ロービジョン学会理事長、岡山県中途視覚障害を考える会会長を長く務めた。現在は新潟、神戸、札幌の大学や専門学校で視能訓練士の養成にも携わっている。

 本は希望者に有償で譲る。問い合わせは販売元のNPO法人岡山県視覚障害者自立支援センター(086―250―8278)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2024年03月19日 更新)

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