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4代目「済生丸」進水 来年1月、笠岡から離島診療

くす玉が割れ、紙テープが舞う中、進水する済生丸の新船=神戸市兵庫区

 半世紀にわたり、瀬戸内海の離島などを巡っている国内唯一の診療船・済生丸の4代目となる新船の進水式が8日、神戸市内で開かれた。新造は23年ぶりで、関係者はあらためて離島医療への貢献を誓った。内装工事を経て来年1月、笠岡諸島・北木島の検診から巡回診療を開始する。

 金川造船吉田工場(同市兵庫区)で式典があり、運航主体の岡山、香川、広島、愛媛の4県済生会の関係者ら約50人が出席した。岡山県済生会の岩本一寿支部業務担当理事が命名書を読み上げた後、船台に載った船と陸地をつなぐ綱を切断。船体が海へ滑り出すと、拍手が湧き起こった。

 県済生会の伊原木一衛会長は「経済状況など済生丸を取り巻く環境は厳しいが、今後も円滑な運航を心掛けたい」と話していた。

 新船は全長約33メートル(190トン)で、エックス線撮影室、診療室2室や待合室などを備え、超音波診断装置、眼底カメラなども搭載。医療機器を含めた建造費は約6億6千万円。

 済生丸は1962(昭和37)年から運航を始め、3代目は90年に就航した。年間1万人以上が検診などで利用しているが、耐用年数(14年)が過ぎて傷みが激しく、新造を検討。財政難から済生丸自体の存廃も議論されたが、住民らの強い要望もあり、2011年に新造の方針を決めた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年08月09日 更新)

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