がん撲滅に尽力した個人、団体を顕彰する山陽新聞社会事業団（越宗孝昌理事長）の第１８回「松岡良明賞」の贈呈式が１０日、岡山市北区柳町の山陽新聞社であり、川崎医科大（倉敷市松島）総合外科学教授の猶本良夫氏（６１）＝同大付属川崎病院副院長＝が表彰された。

　猶本氏は食道がんの診断と治療に取り組んで２０年余り。執刀実績は国内屈指の約７００例に上る。消化器がんの中でも転移しやすく、大掛かりで難しい手術だが、チーム医療と術前、術後の管理体制を構築し、患者の５年生存率は国内トップクラスの６割を誇る。

　１９９０年代には内視鏡治療をいち早く導入し、患者の身体的な負担を軽減。がんのある食道に近い大動脈が破れないように医療器具で保護する治療法も開発した。

　贈呈式では越宗理事長が猶本氏に表彰状と賞金５０万円を手渡した。猶本氏は「尊敬する諸先輩が受賞した栄えある賞であり、感謝する。今後も地域医療の発展と後進の育成に精進したい」と述べた。

　同賞は、山陽新聞社の故松岡良明元社長の遺族からの寄付を基に、同事業団が運営を委託されている「松岡良明基金」による表彰。岡山県健康づくり財団が選考し、同事業団が決め、がん征圧月間（９月）に贈っている。