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体外肺灌流をシミュレーション 29日に岡山大病院

岡山大病院が導入する肺移植用の体外肺灌流装置(同大病院提供)

 岡山大病院肺移植チームは、国内初実施を目指して準備を進めている「体外肺灌流(かんりゅう、循環)技術」のシミュレーションを29日に行うことを決めた。脳死肺移植でドナー(臓器提供者)から摘出した肺を専用装置につなぎ、体外で弱った機能を回復させたり、生存状態を維持して移植する技術。スタッフを手術室に配置して手順を確認し、早ければ10月にも導入する。

 脳死肺移植では、ドナーの肺に水がたまって肺水腫になったり、臓器提供と移植をする病院が遠く、搬送が間に合わないことなど「医学的な理由」で提供や移植が断念される場合がある。同技術で肺のダメージを回復させれば、年間30例前後の脳死移植増加につながることが期待される。

 シミュレーションは外国製の体外灌流装置を手術室に配置。2006年に短期留学先のスウェーデンで技術を習得した執刀医の大藤剛宏チーフの指示で、スタッフ約20人が通常の肺移植にどのような手順が加わるかを確認する。

 大藤チーフによると、脳死肺移植では通常、肺がドナーの体から摘出され、血流が止まってから6〜8時間で移植患者の体内で血流を再開させなければならない。一方、同技術で肺を専用装置につなぎ、特殊な薬剤を循環させれば、血流再開までの猶予が最長18時間に延ばすことが可能という。既に動物で数回検証し、同大倫理委員会からも導入の承認を受けている。

 大藤チーフは「カナダや欧州などで実施されており、安全性も高い。問題点が見つかれば速やかに解消し、早期の導入につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年09月24日 更新)

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