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親と暮らせない乳児を「抱っこ」 岡山の団体がボランティア活動

子どもを抱っこする河本さん。顔をこわばらせたり泣きじゃくる子も、しばらくすると穏やかな表情を見せるという=旭川乳児院

 家族の事情や経済的理由で親と一緒に暮らせない乳児らを「抱っこ」する活動に、ボランティア団体「ぐるーん岡山」(事務局・岡山市)が取り組んでいる。人のぬくもりを直接伝え、「決して一人ではない」と心に訴え掛ける独自のスキンシップ。メンバーたちは「“親子の絆”を感じ取り、健やかに育ってくれれば」と期待を込める。

 今月初め、同市北区祇園の旭川乳児院。ぐるーん岡山代表の河本美津子さん(56)=同市=が男児の小さな体をぎゅっと抱き締めると、応えるように小さな両手が背中に回った。「心がつながる瞬間」と河本さん。

 同乳児院には現在、2カ月〜2歳の男女約30人が暮らす。職員48人が3交代で勤務するが、平岡文恵院長は「泣く子、寂しそうな子がいても全てを構ってあげられない。その引け目を河本さんたちが埋めてくれている」と感じている。

 「ぐるーん」は2011年、本部が横浜市で発足。活動の輪は全国へ徐々に広がり、インターネットの交流サイトで知った河本さんが12年8月、岡山で立ち上げた。

 メンバーは主婦や会社員ら30〜60代の女性17人。同乳児院や赤磐市の児童養護施設を訪問、週1回、3時間程度滞在して抱っこ活動を行う。抱き締めて童謡を歌って聞かせたり、安心からか腕の中で眠る子もいるという。

 今後、活動をPRする広報に力を入れるとともに、施設間の子どもたちの交流イベントも検討中。河本さんは「家にいたら当たり前の抱っこを通じて大人に対する安心感、信頼感が少しでも生まれれば」と話している。

 活動を支援してくれるスポンサーも募っている。申し込みはぐるーんのホームページ(http://www.gruun.org/)へ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年09月25日 更新)

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